メイドインサウジをうたうスマホが登場
でもエンタープライズ向け
スマートフォンの生産国と言えば中国、ベトナム、インドなどが主流ですが、中東のサウジアラビアで作られた製品もあります。ドバイで10月に行なわれた展示会「GITEX 2025」の会場に展示されていました。
いったいどのメーカーの製品かと思いきや、実はこれは一般消費者向けではなくエンタープライズ向けの製品。ハネウェルのブースに展示されていた、業務用の小型コンピューターとして販売されている製品です。
ハネウェルの「ScanPal EDA57」はチップセットにSnapdragon 480を採用する5G対応のAndroidスマートフォン。OSはAndroid 12で出荷され、現在はAndroid 14までのアップグレードに対応予定。外観はタフ仕様のスマートフォンといった感じで、実際にこれを日常的なスマートフォンとして使うこともできます。
しかし、背面を見ると普通のスマートフォンとはまったく異なる外観をしていることがわかります。名前の通りハンディースキャナーを内蔵し、倉庫などでバーコードを読み込み在庫管理用途などに使うことができます。スピーカーが大きく見えるのは騒音のある屋外環境でも円滑に音声通話ができるようにしているのでしょう。
なお、背面カメラは1600万画素。バッテリーは脱着式で、背面カバーを外すことで4500mAhのバッテリーを交換できます。
IP67の防塵防水性能を備え、また1.5m(ラバーブーツ装着時は1.8m)からコンクリートへの複数回落下に耐えるMIL-STD 810G準拠の堅牢性を実現しています。ディスプレー表面もGorilla Glass 5でカバーされ、傷や衝撃から保護します。
サウジアラビアが脱石油経済依存戦略のひとつの取り組み
そして、この端末はサウジアラビア製であることも特徴です。その背景としては、サウジアラビアが脱石油経済依存を目指して進めている国家戦略「サウジ・ビジョン2030」の推進の1つに、海外企業に対し国内での製造を奨励。サウジアラビア製品のブランド力を高め、国際市場での競争力を進めています。グローバルで産業系製品を展開するハネウェルにとっても、サウジアラビアでの製品製造はメリットのあることなのでしょう。
中東とアフリカを合わせたMEA(Middle East Africa)地区は経済発展が進んでおり、スマートフォンの出荷量も全世界の約1割に達しています。現在はまだ産業用製品だけですが、いずれは中東市場向けのスマートフォンもサウジアラビアで製造される日がくるかもしれません。





























