ケータイとPC、ふたつのメール
では、われわれ一般のケータイユーザーからすると、どうだろう?
iPhoneは世界で同じモデルが売られることになるようだ。ということは、日本固有のケータイの機能、つまりソフトバンクで言えば、Yahoo!ケータイやアドレスが「@softbank.ne.jp」のケータイメール、絵文字、デコレメール(デコメール)、おサイフケータイなどには基本的に対応しないことになる。
ソフトバンクから出ている端末には、スマートフォンの「X」シリーズがある。Windows Mobile機やノキアのSymbian OS端末などは、かなり海外のスマートフォンと近い仕様で売られている。
これらの端末では、ハードの作りを変えなければいけないおサイフケータイなどは使えないが、ケータイメールや絵文字など、ソフトで工夫できるところには何とか対応している。そのためiPhoneでも、日本のケータイに合わせたなんらかの対応がなされるかもしれない。
日本固有の機能に合わせない場合、iPhoneそのものの魅力を落とすことはないが、日本でメインのケータイとしてiPhoneを選ぶことは難しくなるかもしれない。そこには、日本独自に構築してきた「ケータイ」によるネット利用が存在しているからだ。
慶應大学SFCの学生に話を聞くと、「メールしておくから」と言うと、パソコンのメールを送ることを意味する。しかしSFC以外の大学生に聞くと、圧倒的にケータイメールを指すことが多い。
このように、日本で一言に「メール」と言っても、ケータイメールとPCメールという2つの「メール」が存在しているのだ。メールだけでなくアドレス帳やウェブにもパソコン用とケータイ用が存在していて、別々に育ってきた経緯がある。
しかしアメリカを始めた海外には、そもそも「ケータイウェブ」だとか「ケータイメール」というものはなかった(SMSがケータイメールといえばそうかもしれないが)。そんな国で生まれたiPhoneだ。iPhoneで扱うのはケータイメールやケータイウェブではなく、パソコンで使うメールやネットを持ち出す、という感覚になる。