松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」

ウィジェットに見るモバイル・プラットホームの未来 (4/4)

文●松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

2008年12月25日 16時30分

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世界に羽ばたくモバイルウィジェット

iPhoneアプリとしても人気の「今日の中吊り」。いわゆる中吊り広告を手元で見ることができる。横にスクロールすると、次々に中吊り画像が見られ、購入ボタンも設置してある優れもの

 iPhoneよりも簡単に開発・実装ができるモバイルウィジェット。

 2008年10月30日に実施されたソフトバンクモバイルの新製品発表会の場で孫 正義社長は、国内のインターネットパートナーと連携するだけでなく、チャイナモバイルやボーダフォングループと国際連携する点を強調している。インターネットパートナーはプリセットされているウィジェットを提供しているYahoo! JAPAN、ミクシィ、ディー・エヌ・エー、マイスペースと、ニコニコ動画ウィジェットを開発中のドワンゴの5社だ。

 ミクシィはすでにPCに比べてケータイからの月間ページビューが2倍になるなど、アクセス主体がモバイルに移行しつつある。また、モバゲータウンも1100万人以上のユーザーを獲得している。今後いかにウェブサービスがモバイルに対応するか、という傾向が強まる中で、ソフトバンクはウィジェットという新たな手段を、ウェブビジネスに対して提供することになる。

 アップルは世界70ヵ国以上で同じiPhoneを販売したことで、日本のソフト開発者も世界向けにモバイルアプリケーションを販売する手段を手に入れた。ソフトバンクのモバイルウィジェットはまだ始まったばかりだが、iPhoneよりも軽い開発コストで、自社サービスをモバイル対応させることができる。さらに、国内だけでなく、海外に対して積極的に展開していく可能性を持っている。

 「日本語」という言語の壁もあって日本独自の面白いカルチャーを育んできたウェブのコミュニティやサービスも、ビジネス化を視野に入れると、海外への展開が必要な局面と言える。ソフトバンクもケータイをパラダイス鎖国から解放するべく、海外との連携を進めていくべきだ。

 しかしソフトバンク以上に、日本のウェブサービスの提供者が、いかに海外のユーザーを巻き込もうとしているか、その準備があるか、という点が重要なのである。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



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