松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」

ウィジェットに見るモバイル・プラットホームの未来 (1/4)

文●松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

2008年12月25日 16時30分

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【今週の1枚】931SHにプリセットされている「ウィジェットストア」というウィジェット。ランキング情報や新着アプリ、カテゴリ表示など、iPhoneのApp Storeさながらの使い勝手で好きなウィジェットを選べる

 今回ご紹介するモバイルウィジェットには、とても大きな期待を寄せている。ソフトバンクモバイルの新しいアプリ環境であり、しかもそれはとてもウェブに親和性を持っているオープンさが売りだ。ちょうどアップルのApp Storeが盛り上がり、全世界共通のソフト開発環境として非常に注目を受ける中、ソフトバンク版App Storeのような印象に映る「ウィジェットストア」も用意していて、時流を読んだ対応と言える。

1シートに貼り付けられるウィジェットの数は3つまで。シートは4枚用意され、パソコンの仮想ディスプレーのように切り替えて使うことができる。各シートにも、ウィジェットアイコンのようなショートカットと速報ニュース表示がついてくる

ケータイにやってきたウィジェット

 パソコンのデスクトップやウェブの世界では、ウィジェット(ガジェット)という言葉が早くから浸透してきた。ほぼ単機能の小さなアプリケーションで、簡単にインストールしてすぐに呼び出せて、ちょっと便利になるのがウィジェットの姿だ。

 Mac OS X、Windows VistaなどOSレベルで対応できるものや、Yahoo!やGoogleなどアドオンしてデスクトップで動くもの、あるいはiGoogleのようにウェブポータルで利用できるモノやMovableTypeなどのウェブアプリに貼れるモノもある。いずれにしても、その多くがウェブにつながっている環境で、ウェブサービスなどの小さな窓口として活用できる。

「ウィジェットという言葉が一般のケータイユーザーに浸透していくか?」という問いに対し、溝渕氏は「コンテンツという言葉も10年前なら目次ですかと言われることもあったが、いまは誰もが普通に使っている。ウィジェットも言葉として定着するのにそれほど時間がかからないのでは」と述べる

 モバイルウィジェットの特性について、ソフトバンクモバイル マーケティング本部の溝渕浩二氏はこう紹介する。

 「ウィジェットはパソコンで始まったアプリ。しかし、常に持ち歩いているディスプレーの待ち受けに、インターネットとの親和性を高められるケータイの方がパソコンより相性がいいはずです。インターネットをモバイルで広げていく、ソフトバンクのテーマにフィットする環境を作り上げます。簡単にインターネットにアクセスできるY!ボタンを端末に搭載していますが、モバイルウィジェットによってよりダイレクトに自分の欲しい情報にアクセスできるようになります」(溝渕氏)

 確かにパソコンでのウィジェットは、常に右端に配置されたり、Macではもう1枚別のディスプレーに配置されている。いつでも呼び出すことができるが、あくまでも脇役。必要なときに呼び出せばよい、という考え方だ。それでも計算機や辞書検索へすぐに手が届く感覚は心地よいものである。

 では、ケータイの待ち受け画面にウィジェットを配置することと、今までのケータイの待ち受けアプリと、違いはどこにあるのだろうか。

 「ユーザーから見ると、アプリとウィジェットの差は関係ありません。特にソフトバンクユーザーの間では、アプリ=ゲームだったのではないでしょうか。アプリの種類の違いは意識しない代わりに、Javaアプリは1つしか待ち受け設定できませんが、ウィジェットは複数を配置することができます」(溝渕氏)

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