7月1日までにしておくべき事
有料サービスのスタートは2009年7月1日。ここまでにUQが用意しておくべき事は何だろうか。
「UQとしてWiMAXを準備してきた期間は、実は約1年間だけなんです。そのため、夏までにモニターのみなさまからいろいろなご意見を頂いて、できる限り吸い上げた状態で有料サービスに移りたいと考えています。お客さまによって使用感はばらばらで、サービス提供側からは分からないことが多いのです。提供するサービス形態も含めて、ご意見を頂いて、できる限りに対応していくつもりです」(片岡氏)
電波の受信強度まで細かくテストするケータイと違い、WiMAXはUSBやExpressCard型の通信モジュールを様々な形のノートPCに組み合わせて使うところからスタートする。また利用するスタイルもPCの使われ方と同様に多種多様だ。
そのため、実際にモニターとして使う5000人から、いかに多様な利用シーンでWiMAXを使ってもらうか、そして彼らからいかに多様な意見を集めるか、という密度の濃い4ヵ月間を過ごさなければならないだろう。こういった点からしても、既存のケータイとは違ったアプローチが存在しているように思う。
ケータイのサービスとは違い、端末やサービスなどをUQが考えるというよりは、まずはモバイルブロードバンドを「インフラ」として提供して、ユーザーや事業者が自由に活用しやすい環境を整えることがUQの役割になる。インフラの優位性を伝え、多様なニーズに応えることだ。
また市場環境にもよるが、WiMAX端末の入手方法も整備していかなければならない。当面UQ WiMAXで利用できる端末は電話申し込みでの販売になるが、量販店などでの店頭販売の準備も進める必要がある。しかしWiMAXはそれだけではないという。
「ケータイは、『ケータイを買おう』と思ってショップや量販店に行って買い、契約するのが当たり前でした。しかしWiMAXはもっと違った世界を目指しています。例えばノートパソコンを個人や企業が買ったとします。すると、始めからWiMAX対応のPCだった、という環境を整えていけると考えています」(片岡氏)
Intelなどは、Wi-FiとWiMAXを統合したチップをすでに開発している。Wi-FiもWiMAXも帯域としては近く、ノートPCなどでアンテナを共用することも可能だと片岡氏は指摘する。
使う、使わないは別としても、2009年夏頃からは、WiMAX対応のノートPCが店頭に出始めるのではないか。すると、手持ちのPCでUQなどと契約すれば、すぐに出先でも高速なネットアクセスが可能になる。
これまでにないワイヤレスサービスの契約形態になり、デバイスや使い方、契約の仕方などの認知を進めることもまた、対応する端末を増やすことに続いて、本サービス登場までの課題になってくる。