ケータイ向けFlashを取り巻く最新事情
2009年2月のMWC2009で発表された最新の状況について、ムラルカ氏は次のように述べる。
「ケータイ向けのFlash Liteは、2009年の第1四半期までに10億デバイスに搭載されます。この数字は、我々が描いていたマイルストーンを1年前倒しできることを意味します。さらに、今後2年間で10億デバイスの出荷が見込まれています。現在のデバイスを使っても、OSPのような様々な活用が見込まれます」(ムラルカ氏)
既にFlash Liteが10億を越える台数が出荷されていることに驚かされる。また今後2年間でさらなる巨大なモバイル向けコンテンツプラットホームに成長することが見込まれている。この台数の積み上がりは、主に新興国でのケータイ出荷がそのまま転嫁されている形だ。
しかしケータイやテレビのような端末はPCと違い、ソフトウエアのアップデートが容易ではないし、特に新興国では急速な買い換え需要が見込めるわけでもない。そこでAdobeは次期バージョンのFlash Lite 3.1でこの問題に対応しようとしている。
「これまで家電がやらなかったソフトウエア・アップデートに対応するのが、新しいFlash Lite 3.1です。開発者は最新のFlash Liteが搭載されているかどうかを気にしなくてよくなります。ランタイムをケータイのデータ通信を使って提供できる仕組みを搭載したからです。まずはNokiaのS60で提供しますが、徐々にサポートを拡大します」(ムラルカ氏)
そして次に控えているのがFlash Player 10のスマートフォン対応だ。デスクトップ向けのコンテンツを、モバイルでもそのまま再生できる環境を提供するこのプレイヤーは、Android、Windows Mobile、Nokia S60、SymbianOSに搭載が可能であり、2010年には製品化される予定だ。
また、強いプラットホームには、欠かせないソフトウェアの充実のために、開発者コミュニティに対するサポートも開始することを発表している。
「MWC2009で、AdobeはNokiaとともに、1000万ドルの『Open Screen Project Fund』を立ち上げることを発表しました。このファンドは、個人、企業問わず、申し込めば提供できるものになります。デスクトップだけでなく、モバイルやテレビなどで利用できるオープン・スクリーン・アプリケーションに対して、世界中のクリエイティビティが集まることを期待しています」(ムラルカ氏)
かなり大きな金額がサポートされるということから日本のFlash開発者も注目してみるとよいのではないだろうか。