コンテンツ経験の未来のデザイン
2005年12月に、工業デザイナーの山中俊治氏率いるLEADING EDGE DESIGNが東京・港区の青山スパイラルで開いた展覧会で、Flashによってインターフェイスデザインをしたケータイの試作機が展示されていた。
僕はこれに触れたときに、今までのケータイとは全く違う操作性や楽しさを感じた。
ケータイにFlashが載ったことによって、ウェブでインタラクティブなコンテンツ・デザインをしている開発者が、ケータイのような組み込み機材のインターフェイスデザインを手がけられるようになった。そしてその経験が、今までのケータイよりも非常に楽しかったし、印象的な体験だったのだ。
あれから3年以上経つが、同じ事が、テレビなどのデジタル家電の上でも実現していくのだろう。 OSPが目指す「素晴らしいクリエイティビティの結集と活用」をうまく表すのは、Flashが表示されるスクリーンを通じて始まる、人と情報との新しいインタラクションになるのではないだろうか。
ここでムラルカ氏が指摘するのは、コンテンツの互換性を高めることだという。つまりPC、ケータイ、テレビなどの様々なデバイスで見てもそれぞれに最適化されて表示されるコンテンツを、どのようにデザインするか。
これは、スクリーンに向かっている時のインタラクティブ・デザインに加えて、生活という時間軸の中でどのようにサービスやコンテンツを活用するのか、という連続的な線のデザインが必要なことを意味する。
既にシャープとヤフーが、液晶テレビAQUOSから利用する「Yahoo! JAPAN for AQUOS」とシャープ製ソフトバンクモバイルの端末との連携を見せてくれている。同じコンテンツを複数のデバイスから活用する情報スタイルを試していくことがとても大切であり、そんな未来の情報スタイルもまた、ケータイ向けFlashのように、日本が先進事例を見せられることを期待している。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。