松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」

デザインから考える、ケータイのこれから (4/4)

文●松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

2009年11月05日 12時00分

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ケータイとデザインのこれから

 今回デザインをフォーカスにケータイに今起きていることについて考えてみた。もちろんサンプル数は少ないし、もうちょっと調査を進める必要があると思うが、興味深かったのは、女性のiPhoneユーザーが、必ずしもiPhoneに外見のデザイン性を感じているわけではない点。結構ショッキングな視点だった。

 ウェブに直結している端末であること、アプリによって端末の機能自体をカスタマイズできること、ウェブのコミュニケーションを便利にするアプリが使える点にフォーカスしていること、iPhoneを購入してから自分にフィットするアプリを選んでいることが特徴的だった。

 たとえば同じTwitterクライアントでも、位置情報を核にしたコミュニケーションに長けたものや、検索性に強いもの、ライブ中継に便利なものなどがそろっていて、1つのコミュニケーションプラットホームに対して趣向や目的、手になじむ機能を手に入れている。

 またケータイはいつでもどこでもという通信手段として使われている。一方で、デザイナーズウィークで見たインタラクションの基本は今だけ、ここだけという限定的なコミュニケーションだった。ドラゴンクエストのすれ違い通信も、誰と相手を特定しないまでも、今その場所ですれ違った瞬間のインタラクションをゲームの中にデザインしている。

 ケータイにGPSが搭載されているから、ということも後押しして、時間や場所にフォーカスしたコミュニケーション・デザインをケータイがまとっていく方向性に、これからしばらくのトレンドがありそうだ。来週は各社の冬モデル発表会について触れようと思っているが、外見ではないデザインに触れる機会はあるだろうか。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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