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無料なのに楽器初心者も簡単に使えるiPadシンセとは (2/3)

文●藤村亮

2013年06月21日 14時00分

シンセの難しさを解決してくれるRemix Pad

 Remix Padはシンセの一番難しいポイントであろう「どの項目をいじったら音がどうなるの?」という疑問を簡単に解決してくれます。パッドを動かすと、画面左側に表示されるパッチごとに割り当てられたパラメーターが動きます。同時に、画面右下のADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース=音の立ち上がりの長さ、音の立ち上がりから伸びへの移行時間の長さ、音の伸びの長さ、音の切れ際の長さ)もリアルタイムで動く仕組みです。

真ん中に並ぶRemix Pad

 何がどうなっているか、細かく知らなくても「ああ、なんかアレとコレが変わったからこうなったんだな」というのは大まかに把握できると思います。

 画面中央上部に表示されるふたつのXY軸のコントロールもRemix Padに連動したパラメーターで、これもタッチ&スワイプでコントロールが可能です。

 実際にはかなり極端なフィルター変化があるにも関わらず、音楽的で使えるサウンドを出してくれる辺り、camel audioのセンスの良さを感じます。歪みやノイズの混ぜ込み方がうまく、非常に使いやすいです。

 iPadならではのユニークな機能としては「Inertia(=慣性)」「Tilt(=傾き)」のセッティングがあります。

 「Inertia」をオンにすると、Remix Padをスワイプした際の四角の動きに慣性が働き上下左右で跳ね返りがおきます。「Tilt」をオンにしてiPadを傾けると、傾きに応じてRemix Padが反応。両方をオンにしてグイグイiPadを動かしながら演奏をしていると、予想もつかない音が飛び出してきたりして楽しいです。

 ウネウネグニグニして遊べるのはもちろん、4トラックのシーケンサーも搭載されており、簡単な楽曲のアイディアスケッチから、かなり本格的なドラムループの作成まで対応できます。

豊富なパッチを選ぶだけでレコーディング可能

ドラムパッド画面

録音中画面

 当然、Remix Padのスワイプもレコーディングでき、非常に立体的なサウンドやグルーヴを生み出すことも可能です。シーケンサーのミキサー部分は1~4の各チャンネルごとで、音量調整のフェーダーとSolo/Muteスイッチというシンプル構成。

 4トラック全てでドラムサウンド/ループだけを選んだり、またシンセパッチだけを選ぶこともできます。ドラムループならば波形のマーク、シンセパッチならば鍵盤のマークのアイコンで、トラックごとの音色管理もしやすいです。

 音の選択は左上の1~4のトラックをタップしたあと、画面上部中央のパッチ名をタップするだけと簡単。カテゴライズも明確で、パッチ名ごとにAtoZで並んでいるのが分かりやすいです。パッチ名の右隅にある星マークでお気に入りのサウンドに目印をつけておくこともできます。

Factoryデータに含まれるサウンドライブラリは全80パッチ(190)
(メール認証後のサウンドライブラリ内容、カッコ内はProバージョンインストール時です)

  • アルペジエーター9種(23)
  • シンセベース7種(13)
  • ギター4種(7)
  • ピアノ/エレピ3種(5)
  • シンセリード3種(5)
  • ループ7種(22)
  • マレット1種(4)
  • オルガン1種(3)
  • パッド6種(10)
  • SE2種(4)
  • サウンドスケープ12種(28)
  • ストリングス2種(4)
  • シンセ3種(5)
  • ヴォーカルサンプル1種(3)
  • ドラムキット4種(4)
  • ドラムループ25種(50)

 画面上部の録音マークをタッチすると、4カウントのクリックの後、レコーディングが始まります。シーケンサーはiPadのメモリいっぱいまでリアルタイムレコーディングが可能なようです(2048小節までは実際に確認)。

 ループするタイミングは、1、2、4、8、16、32、64で指定することができます。64小節以降は小節の数値表示が潰れて非常に見づらいので、64小節までに留めておくのが無難でしょう。録音したトラックは上書きされず、新しくプレイしたパートが重なっていくカタチになります。

 最小64分音符までのクオンタイズやスイング機能も完備。入力したノート(音)やベロシティ(入力の強さ)を目視することはできませんが、アイディアスケッチやリズムループの作成程度であれば問題ないでしょう。bpm(=曲のテンポ)はタップして左右にスライドすることで5~999まで調整できます。4回叩くことでbpmを指定できるタップテンポ機能も付いています。

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