Galaxy Foldのサイズは、オープン時で約118×161×6.9~7.6mm、クローズ時で約63×161×15.7~17.1mm。そして質量は約276gとスマホと考えると重く、タブレットと考えると妥当な重量感だ。
ボディー外装は金属製で、ディスプレーの折りたたみにはスパイン(背骨)構造のヒンジ機構が採用されている。このヒンジ機構には機械式時計にインスパイアされた技術が用いられており、最大20万回の開閉動作テストが実施されている。
実際に開閉動作をしてみると、全開時と全閉時に小気味よく確実に固定され、その感触が心地よいのでついつい無意味にディスプレーの開閉を繰り返してしまう。
カメラは、背面に1600万画素超広角カメラ(ピクセルサイズ:1.0μm、視野角:約123°、F値:F2.2)、1200万画素広角カメラ(1.4μm、約77°、F1.5/F2.4)、1200万画素望遠カメラ(1.0μm、約45°、F2.4)、メインディスプレーに1000万画素セルフィ―カメラ(1.22μm、約80°、F2.2)、800万画素RGB深度カメラ(1.12μm、F1.9)、サブディスプレーに1000万画素セルフィ―カメラ(1.12μm、約80°、F2.2)と6つも搭載されている。
「Galaxy Note 10+」と比較しても、スペック的に劣るのは背面に深度測位カメラ(TOF)が搭載されていないことと、背面の1200万画素望遠カメラがNote 10+のF2.1に対してF2.4とわずかに暗いことぐらい。スペック的にはほぼ同等だ。
ボタン・端子類は右側面に、ボリュームボタン、電源ボタン、指紋認証センサー、底面にUSB Type-C端子、左側面にSIMカードトレイが用意されている。通信機能はIEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.0、NFC対応だ。Wi-Fi 6(11ax)対応の無線LANルーターと組み合わせれば、高速かつ低遅延でネットワーク接続を利用できるわけだ。
Galaxy Foldの約7.3インチの大画面は
ひとつのアプリで占有するのがベスト
現在筆者はGalaxy Foldをメインスマホとして利用している。基本的な利用スタイルはディスプレーオープン状態。と言うのもディスプレーを開いて画面を見れば、顔認証でロックが解除されて直前に使っていたアプリが表示される。動作としてはディスプレーを開くだけなので面倒さはまったくない。いまはもう無意識にディスプレーを開いて、Galaxy Foldを使うようになっている。
唯一例外なのは、急いで写真を撮影するとき。電源ボタン2回押しでカメラが起動するので、シャッターチャンスがふいに訪れたときにはディスプレークローズ状態で撮影している。それでも撮影後に写真を確認する際には、Galaxy Foldを開いてメインディスプレーを利用する。約4.6インチのサブディスプレーは基本的には通知確認用だ。
Galaxy Foldは約7.3インチ、4.2:3の大画面を活かすために、最大3つのアプリを表示可能だが、いまはもうあまり利用しなくなった。当たり前の話だが、3つのアプリを表示すればそれぞれの面積は狭くなる。それではせっかくの約7.3インチの大画面がもったいない。
筆者はスマートウォッチを装着しており、通知、メールやメッセージの冒頭はこちらで確認できる。Galaxy Foldの大画面はひとつのアプリで占有して、ほかの情報はスマートウォッチというふたつ目のディスプレーで確認するというのが、現時点で筆者が最も効率的だと考えている利用スタイルだ。
3つのアプリを快適に動作させる
処理性能を実装している
パフォーマンスについては、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」、CPU/Open CLベンチマーク「Geekbench 5」、3Dベンチマーク「3DMark – The Gamers’s Benchmark」で計測を実施した。結果はAnTuTu Benchmarkの総合スコアが452267、Geekbench 5のCPUスコアが2638、Open CLスコアが2280、3DMarkのSling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1のスコアが5728という結果だった。
11月4日時点の「Geekbench 5」のCPUスコア(Multi-Core)のランキング(https://browser.geekbench.com/android-benchmarks/)を確認したところ、1位は「OnePlus 7 Pro」でスコアは2666だった。つまり今回、Galaxy Foldは1位のOnePlus 7 Proと誤差レベルの好スコアを記録したことになる。Galaxy Foldは3つのアプリを快適に動作させられるだけのパフォーマンスを備えている。
望遠でなければ
取材もこなせるカメラ性能
カメラの基本性能についてはまったく不満はない。解像感が非常に高く、色も鮮やか。料理を撮れば艶やかに、景色を撮れば質感豊かに画像が記録される。フォーカスがずれたり、ホワイトバランスが狂うようなこともほとんどなかった。
実は今回、他社製品の発表会をGalaxy Foldで撮影してみたが、ステージ上の人物写真は被写体ぶれが多発したものの、それ以外はライターが納品するものとしては十分なクオリティーの写真が撮れた。取材用最強スマホはSペンでメモもとれる「Galaxy Note 10+」だが、ステージ上の人物写真を除いた物撮り、スライド撮影に限定すれば、Galaxy Foldで十二分にこなせそうだ。
最新部材を採用した新型スマホに
支払う対価としてはむしろリーズナブル
Galaxy Foldは当初の4月26日発売から大きく遅れて、韓国で9月6日、日本で10月25日に発売された。それだけに、細かな部分が改善されて市場に投入されている。「実質Galaxy Fold 2だ」というのは言い過ぎだが、「Galaxy Fold 1.3」ぐらいにブラッシュアップされているというのが素直な感想だ。
24万5520円という価格は高い。そして実用性という点では半分以下の価格で購入できる「Galaxy Note10+」のほうが上だ。しかし折りたたみディスプレーという最新部材を採用した新型スマホをいち早く体験できる対価としてはむしろリーズナブル。そして「初物」に惹かれる同好の士であれば、購入したことを後悔することはないはずだ。