松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

なぜアップル「Mac Pro」は米国製なのか (3/4)

文●松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

2019年11月28日 09時00分

●iPhoneの関税は免れるのか?

 クック氏がMac Proを米国内で作ろうが、そこに幾分余分なコストがかかろうが、あまり大きな問題ではないかもしれません。なにしろ最小構成が5999ドル(約65万円)で、多くのユーザーがいろいろなカスタマイズを施すため、さらに高額になるはずです。

 クルマもコンピュータも、値段と製造工程は必ずしも連動しません。

 こういう言い方は乱暴かもしれませんが、メルセデスでも軽自動車でも、ボディがあって、ハンドルがあり、タイヤがああり、エンジンがあり、ブレーキがある、というパーツの構成はあまり変わりません。もちろん高ければ高いなりに性能やバランスなどが変わり、最終的な乗り味という体験が作り出されるわけで、価格に意味がないとは思いません。しかし、使っているパーツの点数がかけ離れているというわけでもないはずです。

 同じように、コンピュータだって組み立てにフォーカスすれば、5万円のパソコンも200万円になっちゃうMac Proも、人が携わる作業はそんなに変わらないかもしれない。Mac Proだからこそ、人件費が高い米国での組み立てが可能なわけです。これをMacBook Airも米国製造にするなら、すごいのですが。

 トランプ大統領だって、そんなことは分かっています。しかし、アップルが米国民やトランプ支持者に対して、納得してもらえるだけの努力をしている様子を示さなければならない。その目的は、iPhoneへの関税の更なる猶予、もしくは除外です。

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