HUAWEI MatePad ProはiPad Proを上回る約90%の画面占有率を実現するために、約4.9mmの狭額縁とパンチホールディスプレーを採用している。全画面感はiPad Proより上だ。ただし現行iPad Proには赤外線カメラで顔の3Dモデルを照合する「Face ID」が内蔵されている。HUAWEI MatePad Proはシングルカメラで顔の2D画像を照合しているので、セキュリティー性はiPad Proのほうが高い。
ディスプレーのスペックは、HUAWEI MatePad Proが10.8インチ・2560×1600ドット・280ppi・540cd/平方m・DCI-P3で、11インチiPad Proが11インチ・2388×1668ドット・264ppi・600cd/平方m・P3・最大リフレッシュレート120Hzとなっている。サイズ、解像度、輝度、色域に大きな差はない。ただし、HUAWEI MatePad Proのリフレッシュレートはベンチマークソフト「AnTuTu Benchmark」で60Hzと表示された。ディスプレー画質はスペック上は同等だが、画面の滑らかさはiPad Proのほうが上だ。
HUAWEI M-Pencilの書き味については、Apple Pencilより少し摩擦感があって個人的には好ましく感じた。実際に、「アイビスペイントX」でお絵描きを試してみたが、4096段階の筆圧感知で「筆者なり」に躍動感のあるイラストを描けた。だが、Apple Pencilのように傾き検知機能が搭載されていない点、素早くペン先を走らせたときに描線が最大7センチぐらい遅れる点が気になった。素早く描線を重ねるようにイラストを描く方には、この遅延は大きなマイナスポイントになると思う。
カメラの解像感、発色はさすが!!
もちろん「夜景モード」で暗所もバッチリ
カメラ画質はタブレット端末としては十分満足いくレベルだ。ライカブランドを謳っていないとは言え、ライカと協業するなかで蓄積されたノウハウが活かされているのだろう。
解像感は高く、発色も忠実だ。特筆しておきたいのが「夜景モード」が搭載されていること。デュアルカメラを採用したiPad Proの2020年モデルは「ナイトモード」の搭載が見送られている。もちろんフラッグシップスマホの夜景モードには画質で及ばない。しかし、タブレット端末としてはトップクラスの暗所撮影機能を備えている。
Androidベースのタブレット端末として
最高クラスのパフォーマンス
処理性能を「AnTuTu Benchmark」で計測したところ、総合スコアが483627という結果になった。AnTuTu Benchmarkの6月3日時点のランキングを見ると、同じSoC「HUAWEI Kirin 990」を搭載する「HUAWEI Mate 30 Pro」の総合スコアを13818上回っている。もちろんランキングトップに輝く、「Snapdragon 865」搭載「Mi 10 Pro」の総合スコアの593769からは見劣りするが、Androidベースのタブレット端末として最高クラスのパフォーマンスを備えていることは間違いない。
アプリストア「HUAWEI AppGallery」の現状について触れておく。ファーウェイによれば、2020年2月時点でHuawei Mobile Servicesは170カ国以上でサービスを展開し、4億人超の月間アクティブユーザーを獲得し、140万人以上のアプリ開発者が登録しているとのこと。実際5月7日には待望の「LINE」の配信が開始されている。
しかし現状、「Twitter」、「Facebook」、「Messenger」、「Instagram」、「Evernote」、「Dropbox」などの定番アプリはHUAWEI AppGalleryから入手できない。これらサービスを使うためには「Amazonアプリストア」などからアプリを入手するか、ウェブサービスとして利用することになる。ある程度スキルがある方なら実用的に使えるが、一般ユーザーには敷居が高いというのが正直な感想だ。
処理性能、カメラ画質
そして独自機能も魅力的!
アプリの入手性という点ではハードルが高いが、処理性能、カメラ画質、そしてファーウェイスマホの画面を表示させる「マルチスクリーンコラボレーション」などの独自機能を搭載したHUAWEI MatePad Proは魅力的なタブレットだ。自力でAPKファイルをインストールでき、動かないアプリがあってもほかのウェブサービスで補完できるだけのスキルがあるのであれば、スルーするのはあまりにももったいないデバイスなのである。