松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

iPad用Magic Keyboard「この板は動いているか?」で論争に (3/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年05月21日 09時00分

●Magic Trackpad 2

 しかし、アップルのトラックパッドに関しては、おそらくトラックパッドの諸問題を解決した完成形なのではないか、と思います。

 もちろん二次元平面に特化したトラックパッドやマウスをいつまで使うのか、というコンピューティングの未来像に関わる問題もありますが、アップルが単体ではMagic Trackpad 2、あるいはMacBookシリーズに内蔵されているトラックパッドは、ここで進化が終わっても、後悔する人は少ないのではないか、という代物です。

 トラックパッドはこれまで、押す場所によって反応したりしなかったりすることがありました。またスイッチを配置してどこを押しても押されるようにするためには、無闇にサイズを拡大することも難しかったのです。

 そこでアップルは、トラックパッドの背後に物理的なスイッチを配置するのをやめました。代わりにトラックパッドを手触りの良いガラス板として、これに感圧シートを仕込むことで、どこを押しても反応する仕組みを実現し、トラックパッドの巨大化を実現しました。

 それまでのトラックパッドは、押し込むと指先にクリック感が伝わって、「押した」と認識するものでした。そこで、指の圧力を感じたら、クリックの感触だけをTapTicエンジンで作り出し、押されたことを指に伝える仕組みとしたのです。

 こうすることで、クリックのしきい値を変更できるようになり、好みのクリックの強さ、フィードバックの強さを調節できるようにもなりました。

 ガラス板の背後にディスプレーを仕込んでTouch Barのようにプログラマブルにするなど、拡張の可能性も大いにありますが、ひとまずトラックパッドの完成形に行き着いていると評価しても良いでしょう。

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