石川温のPCスマホニュース解説

携帯料金値下げの悪影響が懸念される (4/4)

文●石川温

2021年11月09日 09時00分

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値下げ競争が将来足を引っ張りそうだ

 世界をリードしている国といえば、アップルやグーグル、クアルコムのあるアメリカや、サムスン電子のある韓国だ。実はこの2つの国の料金プランは決して安いものではない。2つの国のキャリアは世界に比べて高めの料金プランで収益を稼ぎ、研究開発や設備投資につぎ込んでいる。結果として、グローバルで活躍できる土台ができあがる、というわけだ。

 日本のキャリアが料金値下げで収益性が悪化すれば、研究開発や設備投資に金が回らず、Beyond5Gや6G時代に、世界から取り残される可能性がある。

 宮川社長は「今までの日本はキャリアの個性を追求してきたので、それが失われるのは悲しい。頑張ってやっていくが、4Gまでのインフラと5Gのインフラは、基地局の数も使用される電力もまったく別もの。5Gは相当なエネルギーを消費する。本当に維持できるかちょっと心配だが、工夫してやっていきたい」と気概を見せたが、先行きは不透明だ。

 料金値下げ競争により、我々ユーザーの通信料金の負担は軽くなったが、日本の将来におけるネットワーク品質や世界展開の足を引っ張ることにつながっていきそうだ。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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