アップルがeSIMに本気になったことで
否が応でも従わざるをえなくなった
これまで日本ではeSIMに対して、あまり積極的だとは言えなかった。むしろ、3キャリアに関しては、どちらかといえば消極的な態度を示していた。
しかし、2020年に菅政権が発足し、携帯電話料金の値下げを実現するため、総務省で「アクション・プラン」が制定された。その中には乗り換えを手軽にするため「eSIMの推進」という項目があった。そのため、各キャリアとしてはeSIMの導入をやらざるを得なくってしまったのだ。
ただ、総務省から急いで導入を迫られてしまったため、システム的に間に合わない状態となっていた。KDDI「povo」ではオンライン専用プランにも関わらず、オンラインで自動的にeSIMを発行することができず、チャットなどのカスタマーセンターで問い合わせながらeSIMを発行してもらうという手順が必要だった。
NTTドコモでは、なぜか2021年10月ごろからeSIMの発行手続きが「システムメンテナンス」というかたちで受付が停止されていた。eSIMを発行するには、リアルなドコモショップに行かなくてはいけないということになっていた。
それがiPhone 14がeSIMに積極的だとわかると、NTTドコモはiPhone 14の発売に合わせるかのように、9月14日にeSIMのシステムメンテナンスを終えて受付が再開されることになった。
総務省から言われたときは「仕方なく」eSIMの導入を進めなければいけなかった各キャリアだが、アップルがeSIMに本気になったことで、否が応でも従わざるをえなくなった感がある。
自分たちでも積極的にeSIMに対応しなくてはならないし、MVNOにもeSIMを簡単に発行できる環境を整備しなくてはならない。ここ最近、フルMVNOを手がけるIIJ以外にも、日本通信やHISモバイル、mineoがeSIMの提供している。
将来的には日本でもアメリカと同様にSIMカードトレイを廃したiPhoneが発売される可能性がある。eSIMしか使えないとなれば、eSIMに対応できてないMVNOは窮地に立つことになる。
ひょっとすると来年に発売されるiPhone 15(仮)で日本でもeSIMしか使えないなんて可能性も考えられる。日本でも、この1年以内にMVNOもeSIMを発行できる準備を進めておく必要がありそうだ。