ドコモ意識! コンテンツの利用率向上を狙うソフトバンク
ソフトバンクモバイルの発表会は、東京国際フォーラムホールAで行なわれた。キャパシティ5000人の大会場だ。プレスの他に、ソフトバンクユーザー3500人も招待され、新端末をプレゼンテーションしたのは吉本興業の「ケータイ芸人」。斬新なスタイルでの新製品発表会になった。
余談になるが、スタイルとしてはテレビ朝日の「ロンドンハーツ」もしくは「アメトーーク」。ひな壇が用意されて芸人が座り、司会が仕切っていく、バラエティ番組でよく見かける風景がそこにあった。ソフトバンクのイベントなのに、孫正義社長が大御所ゲストのようなポジションに座っていたのもまた面白かった。
芸人が1機種ずつ、ケータイの特徴を「プレゼン」していくスタイルは、普段の発表会よりも新製品が印象に残る。そしてユーザーが1つずつのプレゼンに対して拍手や笑いを送ると言う光景も新鮮だった。しかし、その端末の中身はドコモやauを強く意識した内容になっている。
AQUOSケータイ「SoftBank 932SH」は、全く新しく美しい「Newサイクロイドボディ」「ダブル・ワンセグチューナー」「3スピーカー」「800万画素CCDカメラ」と、特徴的なデザインとスペックを搭載したフラッグシップモデルだ。
しかしそれ以外の端末は他キャリア向けの端末をそのままソフトバンク向けにカスタマイズされて登場した端末と見てすぐ分かる。例えば、VIERAケータイ「SoftBank 930P」「SoftBank 830N」「SoftBank 930CA」は、それぞれ、NTTドコモの「P-01A」、amadanaケータイ「N-04A」そしてauのEXILIMケータイ「W63CA」だ。もちろんドコモの発表会では芸人のプレゼンがなかったため、各端末の特色の伝わり方、印象はソフトバンクの方が強いかもしれないけれど。
つまり、同じ(ような)端末が揃えて、ドコモに移る理由を1つ潰した格好だ。
月額約5000円分のコンテンツサービスを月額315円で利用することができる「コンテ ンツ得パック」。毎日1対1のお笑いのネタバトルがメールで届き、ユーザーは無料で 視聴することができる「S-1 グランプリ」。ユーザーに投票してもらって月間・年間 のグランプリを決めるという後者の企画は、芸人・視聴者を含めた賞金総額2億2000 万円という驚きがあった。
これらの施策は、キャリア同士の比較で低さが指摘されているユーザー1人あたりの通信費(ARPU)を高める狙いがあることは明らかだ。魅力的なコンテンツ群をお得に使えたり、ソフトバンクだけで視聴できる動画コンテンツを提供することで、パケット定額の上限まで通信を使ってもらおうとしている。
インフラを圧迫する動画コンテンツの提供は通信品質の問題から諸刃の剣かもしれないが、会場に詰めかけたユーザーの反響は上々。つくづくプレゼンテーションのうまさを感じさせる発表会であった。