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LG G8X ThinQ 実機レビュー = 5万円台で買える超実用2画面スマホだった!!

文●写真 ジャイアン鈴木 + 編集● PowerReview軍団

2019年12月04日 13時00分

 サイズ/重量は、本体のみで約76×160×8.4mm/約193g、LGデュアルスクリーン取り付け時は約164×166×15.0mm/約331g。LGデュアルスクリーンを取り付けると約138g重くなることになる。

 LGデュアルスクリーン取り付け時に、引き続き利用されるのは電源ボタンと3.5mmイヤフォンジャックのみ。両者はUSB Type-C端子で接続され、LGデュアルスクリーン自体にもボリュームボタンとGoogleアシスタントを呼び出すサイドボタンが用意されている。

 本製品最大の売りであるLGデュアルスクリーンだが、仕様上注意すべき点がある。まず本体はワイヤレス(Qi)充電に対応しているが、LGデュアルスクリーン装着時は利用できなくなる。また本体はIPX5/IPX8の防水、IP6Xの防塵、MIL規格準拠の耐衝撃性能を備えているが、LGデュアルスクリーンは非対応だ。水場で利用する際には本体だけで利用しよう。

 以上のような制限はあるが、LGデュアルスクリーンは360度回転可能で、ディスプレーを閉じている状態ではカバーディスプレーに時刻やメッセージ通知が表示される。LG G8X ThinQの使い勝手を拡張してくれるアイテムであることは間違いない。

LGデュアルスクリーン装着時の前面

LGデュアルスクリーン装着時の背面

LGデュアルスクリーン装着時の右側面(上)、左側面(下)。右側面には電源ボタン、左側面にはボリュームボタンとサイドボタンが用意されている

LGデュアルスクリーン装着時の上面(上)、下面(下)。下面には本体の3.5mmイヤフォンジャックを使うための穴が設けられている。また、USBケーブル接続用マグネット式アダプターを装着するための端子が用意されている

LGデュアルスクリーンは360度回転可能。なお右下は360度回転後の背面写真だ

本体のみの前面(右)と背面(左)

本体のみの右側面(上)と左側面(下)

本体のみの上面(上)と下面(下)。本体にはUSB Type-C端子が装備されている

カードトレイにはnanoSIMカードと最大512GBのmicroSDXCメモリーカードを装着可能

本体とLGデュアルスクリーンはUSB Type-C端子経由で接続する

LGデュアルスクリーン装着時はマグネット式アダプター経由でUSB Type-Cケーブルを接続する

生体認証システムとしてはディスプレー内蔵型指紋認証センサーが採用されている

デュアルディスプレーで
どんなことが実現できるのか?

 先にLGデュアルスクリーンでできないことからお伝えしよう。まずひとつのアプリをふたつのディスプレーにまたがって表示することは、「Chrome」など一部対応アプリを除いてできない。筆者が試したところでは「Twitter」、「Facebook」、「SmartNews」、「Kindle」、「dマガジン」などは対応していなかった。ディスプレー同士が離れているので縦持ちで全画面表示は見づらそうだが、横持ちすれば、「行」でベゼルをまたぐことになるので違和感は少ない。ぜひ、より多くのアプリを強制的に全画面表示するような機能を、アップデートで実装してほしい。

 もうひとつは日本語入力システムが本体側だけでしか使えないこと。そのためLGデュアルスクリーン側のアプリで文字入力したいときには、ディスプレーの入れ替え操作が必要だ。これは非常に不便なので、両方で文字入力できるように改善を望みたい。

 さて本題に入ろう。LG G8X ThinQのデュアルディスプレー環境だが、個人的にGalaxy Foldを常用している筆者から見ても、実用的かつ楽しいというのが率直な感想だ。ディスプレーが完全に分かれていることで、半ば強制的にふたつのアプリを同時利用することになる。前述の通り本体側のディスプレーでしか文字入力できないが、それを踏まえても同時利用すると便利なアプリの組み合わせはいくらでもある。

 特に気に入ったのはふたつのゲームが同時稼働する仕様。Galaxy Foldは「PUBG」などがバックグラウンドに回ると、画面と音が止まってしまう。「Ingress」と「Pokemon GO」を同時実行できるのは、なかなか楽しい体験だ。

 ゲームコントローラー「LGゲームパッド」もユニークな機能だ。「コンソールゲーム」、「レーシングゲーム」、「アーケードゲーム」、「ベーシックゲーム」と4つのプリセットが用意されているうえ、ハードウェアゲームパッドをサポートしていないアプリでも「カスタムゲームパッド作成」からソフトウェアボタンに任意のボタンを割り当てられる。ゲーム以外のアプリにボタンを割り当てれば、実用的な活用方法が広がりそうだ。

 このほかにも、ディスプレーを360度回転させて、カメラで「ミラーモード」を有効にすれば、被写体にプレビュー画面を見せられる。テント状に開けば、スタンドなしにディスプレーを立てて動画を視聴可能。LGデュアルスクリーンの活用方法にはまだまだ伸びしろがありそうだ。

アプリをそれぞれの画面に表示できるが、文字入力できるのは本体側だけ

左にギャラリー、右にカメラを起動すれば、直前の写真を参考にしつつ撮影が可能だ

本体側のディスプレーには2つのアプリを表示できるので、合計3つのアプリを表示させられる

「Ingress」と「Pokemon GO」を同時プレイしたいという方に、LG G8X ThinQはもってこいの一台だ

Bluetooth対応ゲームパッドをサポートしたゲームで「LGゲームパッド」を利用できる

「コンソールゲーム」、「レーシングゲーム」、「アーケードゲーム」、「ベーシックゲーム」の4つのプリセットが用意されている

ハードウェアゲームパッド非対応ゲームでも「カスタムゲームパッド作成」からソフトウェアボタンに任意のボタンを割り当て可能

カメラのミラーモードを利用すれば、被写体にプレビュー画面をチェックしてもらいながら撮影可能だ

ディスプレーをテント状に広げれば動画視聴も快適。飛行機や電車のなかでの視聴に重宝する

扱いやすいカメラだが
広角は4隅がやや粗い印象

 LG G8X ThinQは背面に標準カメラ(1200万画素、f/1.8)と広角カメラ(1300万画素、f/2.4)、前面にインカメラ(3200万画素、f/1.9)が搭載されている。基本的には実際の色がそのまま撮影できる扱いやすいカメラだ。ただし広角カメラは、歪曲が少ないが拡大してみると4隅が結構粗い。本製品の背面カメラはまったく飛び出しがないが、ソフトウェア的にかなり補正している可能性が高い。

 ナイトビューモード(夜景モード)は強い光源の白飛びが抑えられて、色もしっかりと捉えられている。もう少し暗部を明るくしてもよいように思うが、ノイズを避けたセッティングなのかもしれない。

 望遠カメラを搭載していない点を懸念する方がいるかもしれないが、最近のスマホは望遠カメラより広角カメラを重視している。個人的にもスマホで望遠カメラはほとんど使わないので、標準カメラと広角カメラの構成は歓迎したい。

背面(左)に標準カメラ(1200万画素、f/1.8)と広角カメラ(1300万画素、f/2.4)、前面(右)にインカメラ(3200万画素、f/1.9)が搭載されている

標準カメラで撮影(画像情報: 4032x3024 (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 4.36mm (35mm換算焦点距離: 26mm)、シャッター速度: 0.010s (1/100)、絞り: f/1.8、ISO感度: 150、露出モード: Program (auto)、測光方式: Center weight)

広角カメラで撮影(画像情報: 4160x3120 (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 1.75mm (35mm換算焦点距離: 14mm)、シャッター速度: 0.000500s (1/2000)、絞り: f/2.4、ISO感度: 50、露出モード: Program (auto)、測光方式: Center weight)

標準カメラで撮影(画像情報: 4032x3024 (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 4.36mm (35mm換算焦点距離: 26mm)、シャッター速度: 0.000170s (1/5882)、絞り: f/1.8、ISO感度: 50、露出モード: Program (auto)、測光方式: Center weight)

8倍デジタルズームで撮影(画像情報: 4032x3024 (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 4.36mm (35mm換算焦点距離: 210mm)、シャッター速度: 0.000440s (1/2273)、絞り: f/1.8、ISO感度: 50、露出モード: Program (auto)、測光方式: Center weight)

ナイトビューで撮影(画像情報: 4032x3024 (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 4.36mm (35mm換算焦点距離: 26mm)、シャッター速度: 0.200s (1/5)、露出補正: 1.00 eV、絞り: f/1.8、露出モード: Program (auto)、測光方式: Center weight)

ベンチマーク結果 = 最新3Dゲームも
快適にプレイできるパフォーマンス

 パフォーマンスについては、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」、CPU/Open CLベンチマーク「Geekbench 5」、3Dベンチマーク「3DMark – The Gamers’s Benchmark」で計測を実施した。結果はAnTuTu Benchmarkの総合スコアが418376、Geekbench 5のCPUスコアが2685、Open CLスコアが2292、3DMarkのSling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1のスコアが5491という結果だった。

 11月28日時点のAnTuTu Benchmarkのランキングを確認したところ、1位は「ROG Phone II」でスコアは496226。つまりLG G8X ThinQは1位のROG Phone IIの約84%のスコアということになる。ROG Phone IIはプロセッサーに最新の「Snapdragon 855 Plus」を搭載している。最新プロセッサーを採用し、ゲーミングスマホとしてチューニングが施されているROG Phone IIでは分が悪い。

とは言え、LG G8X ThinQはAnTuTu Benchmarkのランキングで13位に入っている。メモリー(RAM)も6GB搭載しているので、最新3Dゲームも快適にプレイできるだけのパフォーマンスを備えている。

AnTuTu Benchmarkの総合スコアは418376

Geekbench 5のCPUスコアは2685

Geekbench 5のOpen CLスコアは2292

3DMarkのSling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1のスコアは5491

「おりたたみ」時代における
実用重視の2画面スマホ

 LG G8X ThinQはふたつのディスプレーをまたいだ全画面表示はできないが、複数アプリの同時利用という点ではフォルダブルスマホのGalaxy Foldを上回る使い勝手を実現している。そのうえで価格は大幅に下回る5万5440円なのだから、コスパのアドバンテージは圧倒的だ。

 たしかに折りたためるディスプレーは尊い。しかしフォルダブルスマホ黎明期に、実用重視の2画面スマホとしてLG G8X ThinQは、名より実を取った魅力的な一台なのである。

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