●キャッシュレスの気になる瞬間
いくら人との接触を避ける生活をしていても、食料品などの買い物はしなければなりません。いや、屋外に出て気分転換をすること、あるいは散歩することは健康を維持するために必要な習慣です。
様々な人の手に渡り流通する紙幣・貨幣も、ウイルスを運んでしまう原因になります。研究によっては、紙幣に3000種類ものウイルスや細菌が棲んでいるとも。米国の中央銀行に当たるFRBはアジア方面から入ってくるドル紙幣の検疫を実施しています。
そこで昨年来盛り上がっているキャッシュレスが重要になるのですが、キャッシュレス決済の種類によって防疫の度合いも異なるのではないか、と思いました。
たとえばクレジットカードは、店員さんに手渡すか、手元にある決済端末に差し込みます。場合によっては暗証番号を入力するためキーパッドに触れなければなりません。
それに比べると、非接触ICを用いるiDやQUICPay、交通系ICカードは、リーダーにタッチ、といっても完全に設置させなくても読み取れるため、デバイスを介したウイルスの移動を避けられそうです。
どうしても気になるのはバーコード系です。画面に表示されたバーコードを手元のリーダーで読み取るとき、多くの場合、リーダーを画面にタッチさせています。このリーダーは多くの人が手に触れた商品のバーコードを読み取ったり、決済のためにスマホの画面にタッチしており、そのスマホの画面に触れて操作したり、顔に当てて通話したりします。
しょっちゅうスマホに触る生活のなか、いくら気をつけていても、コンビニに行った直後に除菌シートを使えるほど、除菌シートもアルコールも容易く手に入らないのです。いずれバーコード決済系も非接触ICに移行してくれることを祈りつつ。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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