●最近驚いたSmart Connectorの仕様
さて、Smart Connectorは2015年に登場したiPad Proで初めてお目見えした規格です。3つの接点を持ち、iPad Proでは当初、Smart Keyboardを接続してタブレットにタイピング環境を提供しました。
Smart Connectorによりキーボードを接続することで、ソフトウェア的にわずらわしいペアリングや接続をする必要がなく、セキュリティ面でも優れているため、ビジネスユースには必要な要素だったと言えます。
その後、Smart ConnectorはiPad mini以外のあらゆるiPadラインアップに採用され、キーボードにも対応できる新しいコンピュータ像の確立に貢献しました。
ただ、我々はSmart Connectorについて、単に「iPadをキーボード接続するための端子」としてしかとらえていませんでした。そうではない、と気づかせてくれたのが、2020年に登場したiPad Pro用Magic Keyboardです。
Magic KeyboardとiPad Proは、これまでのSmart Keyboard Folioと同じように、iPad Pro本体背面にある3つの接点、Smart Connectorで接続します。もちろんSmart Keyboardと同じようにキーボードが使えるようになりますが、Magic Keyboardはバックライト付きで点灯します。
加えてキーボードだけでなく、マルチタッチに対応するトラックパッドを利用することができます。つまり、キーボード以外のアクセサリとの通信、これらに給電ができるようになるのです。まずこの時点で、「えー、そうだったの?」と思ったのです。
さらにさらに、Magic Keyboardの左ヒンジ部分にはUSB-Cポートが用意されており、ここにACアダプタを差し込んでiPad Pro本体に給電できる仕組みを備えていたのです。
ここまで書いてきて、おそらく筆者と同じ結論にたどり着いたのではないか、と思います。
「あ、これ、形が違うけど普通のUSBだ」
(記事後編に続く)
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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