業界人の《ことば》から

5Gとその先での日本の挑戦、NTTとNECの提携を読み解く (1/4)

文●大河原克行 編集●ASCII

2020年07月09日 09時00分

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「日本発の革新的な技術、製品を創出し、日本発の付加価値の高い技術を強化し、オープンな連携をもとにグローバルに展開していきたい。新メイド・イン・ジャパンといえる取り組みになる」

(NTTの澤田純社長)

NTTがNECに約645憶円を出資、IOWN構想の実現へ

 

 NTTとNECが資本業務提携を発表した。NTTは、NECに約645億円を出資し、4.8%の株式を取得。今後の普及が期待される5Gや、その先の6Gに関する研究開発や製品化において協業する。この分野で日本の存在感を高めることができるかが期待される。

 発表された提携内容は、NTTが打ち出した「IOWN構想」(アイオン=Innovative Optical & Wireless Network)の実現に向けた革新的な光技術および無線技術を活用したICT製品の共同研究開発とグローバル展開。NTTドコモなどが提唱する「O-RAN」(Open Radio Access Network)をはじめとするオープンアーキテクチャーの普及促進と、「IOWN構想の実現」に向けた共同研究開発体制を早期に立ち上げ、共同開発した技術を適用した製品の売上拡大を目指すことになる。

 これにより両社では、O-RAN Alliance仕様に準拠した国際競争力を持った基地局を共同開発。光/無線技術を活用したデバイスを基地局装置に適用し、超高速処理、超低遅延、超低消費電力を実現するほか、世界界最高レベルの性能と低消費電力化を兼ね備えた小型光集積回路(DSP)を開発し、それを組み込んだ情報通信機器を、今後2~3年で製品化し、グローバルに販売する計画だ。

 また、IOWN構想の実現に向けて、革新的な光/無線デバイスの共同開発に加えて、海底ケーブルシステムの大容量、高機能、低コスト化への取り組み、宇宙通信の大容量、低遅延、自動/自律化、インフラネットワークのセキュリティ確保に向けた技術の高度化などにも取り組む。

 NECの新野隆社長は、「NECは、O-RAN の分野において、2030年までに世界シェア20%の獲得を目指す」と発言。NTTの澤田純社長は、「新開発のDSPは、世界初の光電融合型のものになる。世界最先端のものになり、競争優位性を保てる」と自信をみせる。

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