Pixel 4aとPixel 4a 5Gは画面もSoCも異なる なぜ同じ型番?
グーグルは、同社ブランドのスマホ「Pixel」において、5G対応の2モデルを発表した。発表されたのは「Pixel 4a(5G)」と「Pixel 5」で10月15日発売となる。国内ではGoogleのみならず、KDDIとソフトバンクが取り扱う。
8月に4Gのみに対応したPixel 4aが発表された時から、これらのモデルの存在は明かされていた。秋に発売するとの告知があったが、今回、ようやくスペックや価格、発売日などが明らかにされたのだった。
スペックを見てみると、若干、首をかしげたくなってくる。Pixel 4a(5G)はPixel 4aをそのままプロセッサやモデムを5G対応にしたのかと思いきや、なんと画面サイズが異なっている。もはや、同じ型番をつけるのがおかしく、まったく別物と思ったほうがいい。また、Pixel 5はハイエンドモデルになっているのかと思いきや、プロセッサはSnapdragon 765Gで、Pixel 4a(5G)と全く一緒だ。
これまでのセオリーでいけば、ノーマルの数字を持つ型番はSnapdragon 800番台シリーズを搭載してハイエンドとして位置付け、数ヶ月後に「a」をつけることでプロセッサも安価なものを載せて「廉価版」として発売するのがPixelのパターンであった。
今回はプロセッサは初めから普及価格帯のものを採用。Pixel 5とPixel 4a(5G)の違いは画面サイズ(Pixel 5の方が小さい)、防水、ワイヤレス充電、バッテリーシェア、メモリの量ぐらいしかない。ただ、価格面で見ると、Pixel 5が7万4800円なのに対して、Pixel 4a(5G)は6万500円。この価格差と性能差であれば、Pixel 4a(5G)の方がお買い得感があるようだ。
もうハイエンド路線は諦めてしまったのか
グーグルとしては、もはやPixelではハイエンド路線は諦めてしまったのかもしれない。確かにシャープは最近「なんとなくハイエンドの終焉」というフレーズをプレゼンでも多用していて「ハイエンドはとことん突き抜けなくては生き残れない」として、AQUOS R5Gでは8Kカメラを搭載する一方、コストパフォーマンスに優れたAQUOS Senseシリーズで台数を稼ぐという二極化戦略が当たっている。
確かに振り返ってみると、グーグルのPixelシリーズは究極の「なんとなくハイエンド」 だったように思うし、それであれば、方向転換してミドルクラスのコストパフォーマンスモデルで勝負を仕掛けた方が身のためなのは理解できる。ただ、Snapdragon 765、765Gを採用したスマホは今、激戦区だ。
日本メーカーで見れば、シャープ・AQUOS zero5G BasicがSnapdragon 765Gを採用。さらに楽天モバイルの2機種目のオリジナルスマホで5G対応のRakuten BigもSnapdragon 765Gであり、価格は6万9800円(税込)となっている。また、Galaxyの普及価格帯シリーズとなる、Galaxy A51もSnapdragon 765Gだ。
3月にサービスがスタートした時の5Gスマホといえば、各メーカーとも10万円を超えるハイエンドばかりであったが、夏を迎えた頃から様相が一変してきた。ZTE、OPPO、Xiaomiといった中国メーカーがSnapdragon 765Gを採用したスマホを4〜7万円程度の価格帯で販売。キャリア関係者によれば「中国メーカーであっても、それぐらいの価格帯の製品は初期ロットが完売するなど、評判がよく売れている」という。
昨年10月に施行された改正電気通信事業法によって、端末の割引に対して上限2万円という金額が設定された。大盤振る舞いな割引ができなくなる中、「スマホに10万円以上は出せないけど、使い勝手は妥協したくない」と4〜7万円のゾーンの5Gスマホがよく売れているというわけだ。
まさにグーグルは今回、日本、韓国、中国メーカーがしのぎを削る5Gスマホ激戦区に飛び込んできたわけだ。この秋、「5G祭り」が始まると言われる中、同じSnapdragon 765Gの中で、どのメーカーがシェアを拡大するのか。果たして、Pixelは個性を出して生き残れるのか。注目と言えそうだ。