Series 6の目玉機能が血中酸素濃度センサー。「血中酸素ウェルネス」アプリを使えばいつでも計測可能で、「バックグラウンド測定」を設定しておけば、ユーザーが動いていないときに自動的に計測される。血中酸素濃度とは赤血球によって肺から全身に運ばれる酸素の割合のこと。ほとんどの人の血中酸素濃度は95~99%とされており、この数値によって呼吸器と心臓が正常に機能しているか判断できるとのことだ。
なお現在のバージョンでは自分で計測したり、「ヘルスケア」アプリで結果を確認しなければならないが、年末までには血中酸素濃度が低くなったときに通知が届くようになる。健康管理のひとつの指標として有効活用したい。
高度計が電力効率の向上した常時計測型になった点も大きな進化だ。血中酸素濃度が下がったり、心拍数が高くなったときに、高度が常時計測されていれば原因を推測できる。文字盤に高度をリアルタイム表示しておけば、山登りなどの際にも重宝するはずだ。
常時表示Retinaディスプレイの輝度は1000cd/平方mとSeries 5から変更はないが、手首を下げて暗くなったときの明るさがSeries 5の2.5倍に設定されている。それにもかかわらずバッテリー駆動時間は最大18時間で変わらないのが驚き。バッテリーの増量、低消費電力化が図られているのだろう。
Series 6以外でも利用できる最新OS「watchOS 7」の新機能として、iPhoneを持っていない家族もApple Watchを利用可能な「ファミリー共有設定」、新しい「文字盤」、Apple Watch単体で計測できる「睡眠アプリ」、4つのワークアウトが追加された「フィットネス」、サイクリングに対応した「マップ」、感染症を予防するための「手洗い」、手首を持ち上げるだけで利用できる「Siriによる翻訳」、聴覚を守るための「ノイズ」アプリなどがリリースされている。watchOS 7は「Apple Watch Series 3」以降で利用可能だ。
バッテリーは常時計測でも「まる1日持続」
「ブレイデットソロループ」は超快適
さてSeries 6を実際に使ってみた感想だが、心拍数、血中酸素濃度、睡眠、ノイズなどを常時計測し、手首を下げているときの画面も明るくなっているのでバッテリー駆動時間が短くなっているのではと心配だったが、筆者の使い方では大体22時間連続使用してもバッテリー残量が40%を切ることはなかった。
最大18時間の公称バッテリー駆動時間は、時刻のチェック、通知の受信、アプリの使用、60分間のワークアウトなどを前提にしたスペックとのことだが、筆者は普段通知をチラ見するだけでアプリをほとんど使わないので、電力消費が少ないのだと思われる。
今回筆者はベルトにブレイデットソロループを選んだが、これは個人的に大正解だった。液状シリコンゴムのソロループは汗で蒸れると予想して避けたのだが、シリコーン糸混紡リサイクルヤーンのブレイデッドソロループは、汗をかいてもほとんどべたつきを感じない。また、バックルもクラスプもないのでノートブックのパームレストを傷つける可能性が低いのも嬉しいポイントだ。
これまでいろんなスマートウォッチを使ってきたが、汗をかいたときや、長時間タイピングする際には手首からはずしていた。濡れるとすぐに乾かないので風呂のときにははずしているが、それ以外のときにずっと快適に装着できるのはブレイデットソロループと組み合わせたSeries 6が初めて。Apple Watchシリーズの2020年最大のトピックはブレイデットソロループが発売されたことだと思うほどだ。
ただ、ひとつ心配なことがある。筆者はバンドサイズに11を選んだが、手を通すときに結構きつく感じるのだ。まだ使い始めてから約2週間なのでさすがに緩くはなっていないが、どのぐらいの耐久性があるのか気になるところ。ブレイデットソロループは単体で9800円とお高めなので、せめて1年はもってほしいと思っている。
健康志向の高い方なら
Series 6は価格差以上の満足感を得られる
血中酸素濃度センサーを新たに追加し、処理性能を着実に進化させたうえで、新開発のベルトを用意することで装着性も大幅に改善させたSeries 6の満足度は非常に高い。明確な不満はバッテリー駆動時間だが、その機能性を考えれば納得感はある。
Cellular+GPSモデルで1万9000円、GPSモデルで1万3000円安いSEはコストパフォーマンス的には魅力的だ。しかし、よりきめ細かく自分の身体に向き合えるSeries 6は、健康志向の高い方なら価格差以上の満足感を得られるスマートウォッチだ。