松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル新型「MacBook Air」震えるほどの性能向上 (2/3)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年11月11日 16時00分

●MacBook Airですら、モンスター級

 そもそもMacBook Air誕生には、前回のチップの移行が大きく関係していました。アルミニウムに包まれた極めて薄く軽いノートブックとしてMacBook Airが登場しましたが、これは省電力・高性能化に完全に失敗していたPowerPCからIntelへ、Macのチップを変更したことで実現した製品だったのです。

 結果として13インチのMacBook Airは、途中11インチモデルも追加しながら、Macをクリエイティブや教育だけでなくビジネスシーンへと送り込む、Mac躍進の象徴とも言える人気モデルへと成長しました。今回のM1への移行でも真っ先にメリットを享受したのが、MacBook Airになります。

 パフォーマンスは2020年モデルの3.5倍を誇るとしています。Geekbench 5のスコアで見ると、クアッドコアCore i7モデルが3500前後を示していることから、新型モデルは単純計算で12250を出せることになります。このスコアは、MacBook Pro 16インチが搭載する8コアIntel Core i9が7200前後のスコアであることを考えると、処理性能としては、今までのMacBookシリーズの最上位モデルと同等もしくは上回る性能を発揮することになりそうです。

 正直なところ、震えるほどに性能向上が著しい、ということになります。

 また、グラフィックスについては5倍の性能と言います。同じく2020年モデルのMacBook Airは、Geekbench 5のMetalスコアで、クアッドコアCore i7モデルが9000。このスコアを5倍とするなら、M1搭載のMacBook Airのグラフィックスは45000になってしまいます。これも、にわかには信じがたいスコア……。

 わかりやすく言えば、2017年モデルのiMac Proを担いで持ち運べるような状態というと、MacBook Airがどれだけ恐ろしい存在かがわかるというものです。そうツイートすると、結構な人がiMac Proを持ち運んで仕事をしていることがわかり、ニーズが小さくないこともわかりました。

 しかも、そうしたモンスター級の性能を、ファンを搭載しないボディに押し込み、ビデオ会議をしながら資料を共有しても、極めて静かに、涼しい顔でこなしてしまうのです。

 M1チップには、Macで良く使われる処理に役立つ処理機能が搭載されています。16コアのニューラルエンジンと機械学習アクセラレータもそうですし、iPhone 12で注目を集めるHDRビデオ編集を高速化する機能も搭載されます。ビデオ編集、写真編集の高速化に寄与しますし、今後Macで機械学習処理がより積極的に活用されるようになると、ハイエンドだけでなく日常使いのアプリにも、今までと異なる進化がもたらされることになりそうです。

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