exFAT非対応のGoogle Pixel 6シリーズで大容量ファイルを外付けストレージに保存する方法 (3/3)

文●平澤 寿康 編集●北村/ASCII

2022年08月12日 14時00分

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転送速度も問題なし
ただしUSBケーブルには注意が必要

 続いて、転送速度はどの程度か、実際に計測してみた。計測には、前回の記事と比較できるよう、同一のデータではないものの、ほぼ容量を合わせた容量約14GBの動画データを用意し、その動画データをUSB Media Exploreを利用してPixel 6 Proの内蔵ストレージからexFATでフォーマットした容量1TBのT7 Shieldへ転送する時間をストップウォッチを利用して計測した。計測時間は、3回計測の平均を出している。また同時に、一般的なUSBメモリーとしてSamsungの「USBメモリ Type-C™」を用意し、そちらでも転送時間を計測した。

 「USBメモリ Type-C™」はType-C接続の小型USBメモリーで、容量は最大256GBとなる。USB 3.2 Gen 1対応で、最大転送速度は 400MB/s(64GBモデルは300MB/s)とUSBメモリーでも高速なタイプだ。「USBメモリ Type-C™」は出荷時はFAT32でフォーマットされているので、4GB以上のデータを保存しないのであれば、そのままPixelシリーズに接続しても使用できる。

大容量データ転送を行なうので、Samsungの「USBメモリ Type-C™」256GBモデルをexFATでフォーマットして検証した

 まずはじめに、Pixel 6 ProとT7 Shieldを、T7 Shieldに付属するUSB 3.2 Gen2対応ケーブルで接続し計測したところ、転送時間は約50秒だった。前回の記事は、Galaxy S22 Ultraを利用して検証したが、その場合は約39秒で転送できていたため、今回はそちらと比べるとやや遅い結果となっている。

Pixel 6 Pro→T7 Shield 約14GBの動画データ転送時間
平均 1回目 2回目 3回目
50秒 49秒85 51秒23 50秒3

 これは、スマホが対応しないexFATフォーマットの大容量ポータブルストレージに対して、exFAT独自対応アプリのUSB Media Exploreを利用して転送しているため、データ転送時にexFATへのアクセスを実現する余分な処理が加わることによる影響と考えられる。とはいえ、大幅に遅くなっているわけではなく、約14GBの動画データを1分かからず転送できているのは十分高速と言っていいだろう。

 続いて、手持ちのUSBケーブルでT7 Shieldをつないでしまった場面を想定して、USB 2.0対応のケーブルで接続した場合でも転送時間を計測してみた。その結果は約7分59秒と、T7 Shield付属USB 3.2 Gen2対応ケーブル利用時より10倍近く時間がかかってしまった。一般的なUSB 2.0対応ケーブルではT7 Shieldの速度を最大限引き出せないため、利用時には必ずT7 Shield付属のUSB 3.2 Gen2対応ケーブルを利用するようにしよう。

Pixel 6 Pro→T7 Shield(USB 2.0ケーブル) 約14GBの動画データ転送時間
平均 1回目 2回目 3回目
7分59秒 8分17秒62 7分31秒4 8分6秒56

T7 Shieldの性能をフルに発揮させたい場合は、付属のUSB 3.2 Gen2対応ケーブルを利用しよう

 最後に、「USBメモリ Type-C™」での結果は約2分37秒だった。今回利用したのはUSB 3.1 Gen 1対応のUSBメモリーのため、T7 ShieldをUSB 2.0対応ケーブルで接続した場合の3分の1ほどの時間で転送できているが、USB 3.2 Gen2対応ケーブル接続時のT7 Shieldと比べると3倍ほどの時間がかかっている。

Pixel 6 Pro→USBメモリ Type-C™ 約14GBの動画データ転送時間
平均 1回目 2回目 3回目
2分37秒 2分38秒9 2分34秒95 2分36秒35

 以上の結果から、exFATに対応しないPixelシリーズでも、独自にexFATへのアクセスを実現するファイル管理アプリを利用することで、大容量ポータブルストレージに容量4GB以上の大容量データを逃がしてスマホの内蔵ストレージ空き容量不足問題を解消できることが確認できた。

 なお、USB Media Exploreは執筆時点で489円の有料アプリのため、コストがかかってしまう点が気になる人もいるだろう。それでも、今回検証したように、exFATに対応しないスマホでもexFATフォーマットの大容量ポータブルストレージが問題なく利用できることや、無料アプリのように利用時に広告が表示されることなく利用できるため、個人的にはそのコストを負担するだけの価値は十分あると感じた。

「USB Media Explore」は有料アプリだが、そのコストを負担するだけの価値は十分ある

Pixelでは大容量ポータブルストレージを
USB Media Explore経由で利用しよう

 今回見てきたように、exFATに対応しないPixelシリーズで大容量ポータブルストレージを利用する場合には、スマホ側で大容量ポータブルストレージをFAT32でフォーマットして利用するか、exFATのままUSB Media Explore経由で利用する、という2つの方法があることがわかってもらえたと思う。

 ただ、検証でも紹介しているように、FAT32でフォーマットして利用する場合には、4GB以上のファイルが転送できない。4GBを超える大容量の動画データは転送が失敗してしまうため、利用できる場面が限られてしまうことになる。

 それに対し、有料アプリではあるが、独自にexFATへのアクセスを実現しているファイル管理アプリのUSB Media Exploreを利用すれば、PixelシリーズでもexFATフォーマットの大容量ポータブルストレージを問題なく利用でき、大容量の動画データも転送できる。

今後、OSのアップデートなどでexFATに対応する可能性もあるが、Android 12でPixelシリーズを利用する場合は、exFAT対応のファイル管理アプリを使うのが最適解となる

 Googleは、PixelシリーズでexFATに対応しない点について、多くのユーザーからフィードバックをもらっているはずだ。また、他社製のスマホの多くは、すでにexFATへの対応を実現している。そのため、今後Pixelシリーズでも、標準の「ファイル」アプリやOSのアップデートなどでexFATへの対応を実現する可能性も十分に考えられる。

 とはいえ、現状でPixelシリーズがexFATに対応しないのは事実であり、現時点でPixelシリーズで大容量ポータブルストレージを利用する場合には、USB Media Exploreなどの独自にexFATへの対応を実現しているファイル管理アプリの利用をお勧めしたい。

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