タッチパネルによる使いやすいケータイとは何か? 昨今の端末の動向を見ながら、ふと考えさせられることが多い。ケータイにふさわしいインターフェースについて、国産のタッチパネルケータイNTTドコモの「SH906i」をきっかけに考えてみたい。端末の企画を担当したシャープの木戸貴之氏に聞いた。
タッチパネル化によって生まれる課題
iPhoneが登場して、ケータイのインターフェースとしてタッチパネルが注目されるようになった。ソフトバンクのiPhoneのほかに、auやイー・モバイルは台湾HTC製端末を導入するなど、タッチパネルはスマートフォンを皮切りに広まりつつある。
iPhoneはソフトウエアキーボード1本に絞って、シンプルなデザインを実現している。一方、ほかのスマートフォンは物理的なQWERTYキーボードを備えた端末が多い。ケータイとしてフルキーボードを備えるSoftBank 922SHのように工夫されて使いやすい端末もあるが、フルキーボードを備えているから文字入力が速くなるわけでもない。
タッチパネルの搭載もまた、同様のことが言える。タッチパネルを搭載したからケータイが使いやすくなるかといえば、決してそんなことはない。画面に再現されるボタンの大きさや、フリック、ピンチなどの特有の操作を実現するインターフェースの設計、これらの動作を心地よく見せる反応速度。インターフェースがタッチパネル化してからの課題は多い。
iPhoneのインターフェースについてはすでに語り尽くされている感があるが、タッチパネルを搭載するほかの端末を見ると、やはりソフトウエアとインターフェースの一体的な「エクスペリメンタル・デザイン」による成功が光る。iPhoneをケータイと捉えるべきか否かは別の問題であるが、同様にタッチパネルを搭載したPRADA phoneは、ケータイでの動作を再現するあまり、iPhoneほどの心地よさには到達していない。まあPRADA phoneには別の価値があるからいいと思うけれども。