2008年初頭のCES(International Consumer Electronics Show)で、ソニーは非接触型の次世代通信規格「TransferJet」を発表した。このTransferJetは数cmという非常に近い距離での通信に特化した技術で、実効値で375Mbpsの高速通信を実現する。
既存のモバイル端末に搭載されているどんな入出力インターフェイスよりも高速であるTransferJetをどう使っていくか、KDDI Consumer商品本部 プロダクト企画部 次世代端末企画グループの 上月勝弘氏、相馬 剛氏にお話をうかがった。
今のケータイは多彩なインターフェイスを備えている
そもそもケータイには音声やデータの通信を行なう機能のほかに、さまざまな入出力のインターフェイスが備わっている。
たとえば赤外線通信は電話番号とメールアドレスの交換でメジャーな機能になっていて、赤外線ポートに対応しないiPhoneを使い始めると、赤外線による情報交換がいかに便利でシンプルだったかを思い知らされる。
おサイフケータイ(FeliCa機能)もEdyやモバイルSuicaといった電子マネー機能はもちろん、最近では赤外線で実現していた電話帳の送受信や画像のやりとりが可能になった。ちなみに端末同士をくっつけてデータを交換するスタイルは、赤外線よりも密着感が良いだとか、知り合ったばかりだとちょっと気が引けるとか賛否両論だ。日々持ち歩いているケータイならではの意見である。
さて、これらのインターフェイスよりも遥かに高速なTransferJetをケータイに適用しようと率先して取り組んでいるのがKDDIである。1月31日に開かれたau春モデル発表会では、TransferJetを組み込んだソニー・エリクソン端末の試作機で、音楽やミュージックビデオの高速転送と、未来のミュージックショップの什器をイメージしたデモを行なっていた。