革命が起きるか?
ライブYouTubeアップロード
そしてもう1つ、iPhone 3GSではビデオに対応した。640×480ピクセルのVGAサイズの動画を、静止画と同じカメラアプリから切り替えて撮影することが出来るようになっている。H.264(音声はAAC)コーデック、ビットレートは3.6Mbpsで、1分の動画で約25MB前後のファイルサイズになる。iPhoneだけでなく、パソコンで再生してもかなりクリアでスムーズな動画を楽しめる。
そしてこの動画を、ワンタッチでアップロードすることができる点は非常に興味深い機能だ。写真のライブラリから動画を選び、メニューから「YouTubeに送信」を選ぶと、ムービーがアップロード用に圧縮される。この圧縮の時間も、ムービー自体の長さ次第だがストレスのある待ち時間ではない。
アカウントを設定していない場合はYouTubeのアカウント設定が求められ、タイトル、概要、タグ、ジャンルを選んで送信ボタンを押すだけで、YouTubeへのアップロードが始まる。
iPhoneから送信されたムービーの詳細説明には、黒地のAppleのリンゴマークとiPhoneのアイコンが浮かび、iPhoneから送信されたことが一目でわかるようになっている。ムービーにはもちろんGPS情報が埋め込まれ、撮影されてすぐにアップロードできるiPhoneとYouTubeの連携は、YouTubeにもともとあったビデオモブログというカテゴリーをより大きな存在にしてくれるかもしれない。
このようなビデオ機能は、Android端末でも可能だし、日本のケータイでもメールを使うことで実現できる。ただ、iPhoneのユーザーがここに参加してくることによって、より社会に影響を与えるようなムーヴメントが生じるのではないだろうか。そう感じさせてくれるほど、iPhoneからのビデオアップロードは簡単で素早く、気軽に使える単純な機能なのだ。
現在イランの大統領選挙の混乱の様子は、TwitterやYouTubeから知ることが可能だが、この情報の多くがモバイルからアップロードされた情報だという。実は市民活動では、すでにモバイルサービスを活用したアピールをフル活用しながら訴えを世界に発信しているのだ。
簡単に映像やテキスト、音声を届けられるパーソナルメディアを活用したソーシャルデザインの必要性を強く感じると同時に、いかにテクノロジーが我々の生活を支えてくれるか、というアイデアをたくさん紡ぎ出す必要性を意識させられるのだ。
【おまけ】実際に動画をYouTubeにアップロードしてみた
同じ動画をiPhoneから(上)とMac経由(下)の2パターンで送信してみた。iPhoneから送信した動画は圧縮されているため、YouTubeプレイヤーの「HQ」アイコンが表示されない。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。