ダウンロードするだけでは使い始められない。iPhone向けメールアプリ「Mailbox」は、アカウントが有効になるまで待たなければならないということで一躍話題になりました。アプリ公開日にはすでに30万人が行列を作っており、Twitterなどでもその順番がだんだん近づいてくる様子の画像が共有されていました。
実は筆者はMailboxのコンセプトビデオが公開された際に、予約番号を取得したはずだったのですが、その番号を忘れてしまい、結局約30万人の行列に参加してしばらく待つことになりました。アプリが使えないものの、どんどん減っていく数字が気になり、ついついちょくちょくアプリを起動してしまうんですよね。
結果的には1週間以上待って、やっと使い始めることができるようになりました。
Mailbox | |||
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価格 | 無料 | 作者 | Orchestra, Inc. |
バージョン | 1.0.1 | ファイル容量 | 8.9 MB |
カテゴリー | 仕事効率化 | ユーザーの評価 | (3.5) |
対応デバイス | 対応OS | iOS 6.0以降 |
メールの今、インターフェースというアプローチ
アプリそのものの話の前に、メールについて少し考えておきましょう。
日本で会話の中で“メール”というとどちらかというとパソコンよりはケータイのメールを指すかもしれません。しかし、米国ではパソコンのメールは老若男女が使いこなす標準的なコミュニケーションツールとして使われてきました。当たり前のツールになった一方で、メールが素晴らしいツールだと考えている人ばかりではありません。
多くのスパムメールに見舞われることから始まり、強力なスパムフィルターのおかげでメールは排除に成功しても、仕事の話から飲み会の誘いまで、ありとあらゆる情報が一気にメールボックスに押し寄せてきます。一般的に70%がスパムメール、20%が読めば良いメール、返事を書くべきメールは10%といわれています。しかしその10%を見極める時間と、返事を書く時間が必要になるメールは意外と負荷の高い作業といえるでしょう。
メールに追われながら生活しているような感覚に陥ったり、実際は違うかもしれませんが、メールを書いているだけで仕事になっているような錯覚に陥ったり。「メール」とどのようにつきあうかについての議論は決して新しいものではありません。
一方で、メールの代替手段の争いも活発です。
FacebookメッセージやLINEといった、1対1、あるいはグループでのコミュニケーションをモバイル中心で行ええるようにすることを目指したアプリやサービスも数多く登場しています。特にFacebookメッセージは、Facebookグループとともに、日本のビジネス環境での活用も見られるようになりました。
しかし万人がFacebookを仕事向けに使っているわけではなく、メールがなくても……という環境になっていないのもまた事実。なにより、メールアドレスさえわかればどんなデバイスからでも世界中に届けることができる汎用性もあると言えます。
Gmailは巨大なメールボックスとスパムフィルターのおかげで、メールのクラウド化とスパム対策という2つの大きなテーマを解決しています。ただ、送受信されるメッセージ自体はこれまで通りの電子メールを踏襲しており、サーバーの機能を強力にしたことによって、その環境を変えているだけなのです。
では、メールに追われるように生活をしている、といったユーザー側の煩わしさも、メールの仕組みそのものを変えなくても、メールソフト、メールアプリという、メールを扱うインターフェースで改善できる可能性があるのではないか。メールアプリに対する期待が高まりやすい理由も、ここにあると考えられます。
Mailboxは久しぶりに、生活の中でのメールとのつきあい方を変えてくれるのではないか、という期待から行列ができるアプリになっているのではないでしょうか。