Windows情報局ななふぉ出張所

iPhoneが主役の時代は終わるのか

文●山口健太

2019年08月28日 09時00分

 10月1日に予定されている改正電気通信事業法の施行により、日本の携帯料金や端末の販売モデルが変わろうとしています。

 スマホの販売を支えてきた割引やキャッシュバックが大きく制限されることで、その恩恵を受けてきたiPhoneの勢いも弱まるのでしょうか。

■旧モデルiPhoneの割引が困難に

 総務省が8月26日に公開した意見募集の結果では、総務省令案に対してアップルが批判的なコメントを寄せたことが注目を浴びています。

アップルが省令案を批判(総務省が公開した意見募集の結果より抜粋)

 ソフトバンク宮内謙社長のコメントなどから、9月20日ごろには新型iPhoneの発売が期待されています。予約して発売日に購入する熱狂的なファンがいる一方、これまでのような割引や「4年縛り」がなくなることで及び腰になる人も出てくるでしょう。

 さらに深刻なのが、ボリュームゾーンを占める型落ちのiPhoneです。アップルは新製品の発売後もiPhone 7などの旧モデルを値下げして販売する方針を採ってきました。そこにキャリアが割引を上乗せすることで本来は高嶺の花であるiPhoneを日本では安く買えるという、世界的に見ても特異な状況にありました。

 これに対して新たな制度では、端末の製造終了後の最終調達から12ヵ月後には5割、24ヵ月後には8割の値引きが可能とされています。価格設定の自由度では頻繁にモデルチェンジを繰り返すAndroid端末が有利になり、iPhoneは不利な立場に置かれることになります。

 アップルとしても、パブリックコメントに不満を書き込むほど追い込まれる前に打つ手はなかったのでしょうか。貿易問題として米国政府を頼ろうにも、アップルが距離を置いてきた共和党政権であることもタイミングが悪い印象です。

 日本ではiPhoneを使い慣れたユーザーも多く、有料アプリを含めたAndroidへの移行コストを考えれば、iPhoneのシェアが急落することはないと思われるものの、長期的には影響が避けられないでしょう。

■ミッドレンジ市場は分からなくなってきた

 苦しい状況のiPhoneとは対照的に、大きなチャンスに恵まれたのがミッドレンジのAndroidスマホです。その中でも、今夏最大の注目機種になるはずだったのがファーウェイの「HUAWEI P30 lite」です。

ファーウェイ「HUAWEI P30 lite」

 この夏の旅行に持ち出してみたところ、これといったクセがなく使いやすい印象です。カメラは旅行に使いやすい広角モードを搭載しており、画質はほどほどながら、同じ場所から幅広い範囲を撮影できます。

HUAWEI P30 liteの標準カメラ(上)と広角カメラ(下)の違い

 国内の販売チャネルも広く、大手キャリアからはau、サブブランドからはY!mobileとUQ mobile、MVNO各社はもちろん、端末単体での販売と、あらゆる買い方を選べる点も魅力的です。米中の貿易摩擦の影響さえなければ、ファーウェイは日本市場でさらに上を目指す存在になっていたでしょう。

 その間隙をついて、評価を伸ばしているのがグーグルの「Pixel 3a」です。Pixel 3より画面が大きく使いやすいサイズ感になり、Pixel 3譲りの高性能なカメラや、ミッドレンジでありながらおサイフケータイも搭載しており、「日本市場でしっかり売っていく」というグーグルの本気度が感じられます。

HUAWEI P30 lite(左上)のライバルとして台頭してきたPixel 3a(右下)

Pixel 3aによる夜景写真。画質は上位機種のPixel 3譲りだ

 Pixel 3aはミッドレンジとしては少し高い価格帯になるものの、消費増税を背景に盛り上がるキャッシュレスも最大限に楽しめることから、万人向けにおすすめできるミッドレンジ端末に仕上がっています。

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