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OMEN X 2S 15 実機レビュー = ゲーミングノートも2画面内蔵の時代が来たのだッ!

文●写真 ジャイアン鈴木 + 編集● PowerReview軍団

2019年11月14日 12時00分

 OMEN X 2S 15の本体サイズは約361×262×20~26.5mm、重量は約2.37kg。バッテリー容量は公表されていないが、「Battery report」で確認したところ71,333mWh(設計容量)のバッテリーが搭載されていた。これだけの大容量バッテリーを搭載していてもバッテリー駆動時間は最大4時間なので、ハイパフォーマンスぶりがうかがえる。

 インターフェイスは、USB Type-C 3.1 Gen2×1(Thunderbolt 3、電源オフUSBチャージ機能対応、Power Delivery 3.0)、USB Type-A 3.1 Gen1×3(全ポートが電源オフUSBチャージ機能対応)、HDMI×1、有線LAN端子×1、ヘッドセット端子×1、マイク入力端子×1を搭載。ゲーミングノートPCとして使うのなら必要十分なインターフェースだが、そのパフォーマンスをクリエイティブ系アプリケーションなどにも活用する際にはフルサイズのSDメモリーカードスロットもほしいところだ。

 通信機能はIEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0をサポート。Wi-Fi 6(11ax)非対応な点は、2019年に発売されるハイエンドゲーミングノートPCとしてはマイナスポイントだ。

 一方、底面がシングルパネルとなっており、ネジを6つはずすだけでメモリーやストレージを交換可能な点は評価できる。ただしネジをはずすにはトルクスレンチが必要で、またシングルパネルを取り外す際には指定した場所にオープナーなどを入れて、指を入れるすき間を確保する必要がある(参考資料:Maintenance and Service Guide)。

 製品公式サイトで「シングルパネルで簡単にアクセス可能」とうたうのであれば、もう少し手軽に開閉可能な構造にしてほしいし、日本語のメンテナンスガイドも用意するべきだ。

本体天面。電源投入時ロゴは赤く点灯する

本体底面。巨大なヒートシンクとふたつの冷却ファンが覗けて見える。冷却システムは2方向吸気、3方向排気仕様。なお底面のトルクスネジ6本をはずせば、底面パネルを開けられる。ただし開く際に指を入れるすき間を確保するためのオープナーが必要だ

上が本体前面、下が本体背面。ヒンジは中央にふたつ設けられている

上が本体右側面、下が本体左側面。本体右側面には左からUSB Type-C 3.1 Gen2×1、USB Type-A 3.1 Gen1×1、本体左側面には電源端子、HDMI×1、USB Type-A 3.1 Gen1×2、有線LAN端子×1、ヘッドセット端子×1が配置されている

メイン画面は15.6インチFHD IPS液晶ディスプレー(1920×1080ドット、非光沢、144Hz、300cd/平方m)。ディスプレー上部にはWebカメラ(約200万画素)とデュアルマイクが内蔵されている

サブ画面は5.98インチFHD IPS液晶タッチディスプレー(1920×1080ドット、光沢、タッチ対応)。キーボードは日本語配列。右側にタッチパッドが配置されている

パッケージには、PC本体、パームレスト、ACアダプター、電源ケーブル、マニュアル類が同梱されている

ACアダプターはDCプラグ仕様

ACアダプターのスペックは、入力100-240V~3.5A、出力19.5V 11.8A、容量230W

PC本体の実測重量は約2372g

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測737g

サブ画面用ユーティリティーは少ないが
Windowsアプリがそのまま動作

 OMEN X 2S 15はメインディスプレーに非光沢、サブディスプレーに光沢の表面処理が施されている。ゲーミングノートPCの多くが照明の映り込みを避けるためにメインディスプレーに非光沢処理を採用している。これは当然の仕様だが、サブディスプレーに光沢処理が施されている点は違和感がある。天井に照明があればサブディスプレーこそ照明が映り込みやすい。もし映り込みが許容できない場合は、汎用品の非光沢液晶保護フィルムを貼り付けよう。

 サブディスプレー用のユーティリティーとしては「HP OMEN Command Center」が用意されており、CPUやGPUの使用率をモニタリングする「システムモニター」、マシンのパフォーマンスを設定する「オーバークロック」、キーボードとロゴの照明をカスタマイズする「LEDコントロール」、メインディスプレーの一部をセカンドディスプレーに表示する「リアルタイムの画面ミラーリング」、プログラムランチャー「マイゲーム」、サブディスプレーの明るさなどを調整する「設定」に素早くアクセスできる。

 また、数字を入力するための「バーチャル10キーパッド」というユーティリティーも用意されている。ASUSの2画面ノートPCほどユーティリティーは充実していないが、Windowsのアプリがそのまま動作してタッチ操作も可能なので特に不便を感じることはない。

 キーボードの詳細なスペックは製品公式サイトに記載されていないが、キーピッチは実測18.7mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後。キーボード全体で剛性がしっかりと確保されており、打鍵感もいい。OMEN X 2S 15自体にはパームレストは存在しないが、ゴム製の別体式が同梱されている。キーピッチはやや狭いが快適に文字入力できるキーボードだ。

メイン画面は非光沢、サブ画面は光沢仕様。個人的にはサブ画面も非光沢仕様にしてほしかった

メインディスプレーは300cd/平方mと十分な明るさ。発色にも特に癖はない

サブディスプレーの輝度は公表されていないが、特にメインディスプレーと比べて明るさに物足りなさを感じることはない

サブ画面に表示される「HP OMEN Command Center」では、「システムモニター」、「オーバークロック」、「LEDコントロール」、「リアルタイムの画面ミラーリング」、「マイゲーム」、「設定」などの各種機能に素早くアクセスできる。

タッチパッド左上の「バーチャル10キー」を押すと、「バーチャル10キーパッド」がサブ画面に表示される。これはテンキーとして利用可能だ

サブ画面用ユーティリティーは少ないが、Windowsアプリがそのまま動作し、タッチパネルで操作できるので特に不便を感じることはない

同梱のゴム製パームレストを利用すれば、安定したキータイピングが可能

キーピッチは実測19.7mm前後

製品公式サイトにキーストロークは記載されていないが、実測で1.5mm前後が確保されている

2画面ノートPCでも
最強のパフォーマンス

 今回実施したのは「CINEBENCH R15.0」、「3DMark v2.10.6799」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」、「CrystalDiskMark 6.0.2」、「BBench」の5本。なおベンチマークを実施する前には、ユーティリティー「HP OMEN Command Center」の「オーバークロック」で、パフォーマンス設定を「パフォーマンス」に設定している。

 OMEN X 2S 15は、8コア16スレッド、2.30~4.80GHzの「Intel Core i9-9880H」(8コア16スレッド、2.30~4.80GHz)、リアルタイムレイトレーシング対応NVIDIA製グラフィックス「NVIDIA GeForce RTX 2080 with Max-Q Design」が組み合わされている。

 結果は、CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは「1430 cb」、3Dベンチマーク「3DMark」の「Time Spy」は7639、3Dベンチマーク「3DMark」の「Port Royal」は4520、3Dベンチマーク「3DMark」の「Fire Strike」は17264、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」のスコアは10837(とても快適)、「CrystalDiskMark 6.0.2」で計測したSSDのシーケンシャルリード(Q32T1)は2403.1MB/s、シーケンシャルライト(Q32T1)は1225.6MB/sとなった。

 直近でレビューしたゲーミングノートPCと比較すると、ASUSの「ROG ZEPHYRUS S GX502GV(以下GX502GV)」が6コア12スレッド、2.60~4.50GHzの「Core i7-9750H」と「NVIDIA GeForce RTX 2060」を組み合わせており、「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアが「1284 cb」、「3DMark」の「Time Spy」は6509という結果だった。

 つまりOMEN X 2S 15はCPU性能において約1.11倍、グラフィックス性能において約1.17倍のスコアを記録したわけだ。もちろん価格やパッケージングが異なるので単純に比較はできないが、単に処理性能だけにスポットを当てるのであればOMEN X 2S 15に軍配が上がることになる。

 バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度40%でバッテリー残量7%までの動作時間を計測したところ、2時間33分52秒という結果になった。一方GX502GVはディスプレー輝度40%でバッテリー残量5%までの動作時間が、外部グラフィックスオンで2時間52分39秒、外部グラフィックスオフで7時間12分31秒だった。OMEN X 2S 15にも外部グラフィックスをオフにする機能がぜひほしいところだ。

CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは「1430 cb」

3Dベンチマーク「3DMark」の「Time Spy」は7639

3Dベンチマーク「3DMark」の「Port Royal」は4520

3Dベンチマーク「3DMark」の「Fire Strike」は17264

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」のスコアは10837(とても快適)

「CrystalDiskMark 6.0.2」で計測したSSDのシーケンシャルリード(Q32T1)は2403.1MB/s、シーケンシャルライト(Q32T1)は1225.6MB/s

絶対的パワーを重視しつつ
2画面ノートPCの利便性を
享受したい方にオススメ

 2画面ノートPCというとどうしてもASUSの「ZenBook Pro Duo」と比較したくなる。しかしZenBook Pro Duoはサブディスプレーが14インチ(3840×1100ドット)と横幅いっぱいの広さが確保されているが、外部グラフィックスが「NVIDIA GeForce RTX 2060」とランクが落ちる。また直販価格も46万6500円とかなり高価だ。

 ゲーミングノートPCとしてCPUと外部グラフィックスの絶対的パワーに重きを置きつつ、2画面ノートPCとしての利便性を享受したいという方には、OMEN X 2S 15はもってこいのマシンである。

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