欧州全体でのファーウェイ締め出しはなし
英国の決断を受け欧州連合(EU)も翌日に、昨秋から設定を進めてきた「5G Toolbox」を承認したことを発表した。このツールボックスは、国レベル、EUレベルでの5Gサイバーセキュリティーのリスクを定義して、リスクを緩和したり、推奨されるセキュリティー対策をツールボックスのように用意するというもの。つまり、ファーウェイをEUとして締め出すことはないということになる。
リスクとしては、セキュリティー対策が十分ではない場合、5Gサプライチェーンに関連する場合など5つのリスクカテゴリーを設けており、加盟国に対してツールボックスが示す緩和対策の実装を呼びかけている。
たとえば、オペレーターに対してアクセス制御やセキュリティーオペレーションとモニタリングのルールを厳格にすること、特定の機能のアウトソースを限定的にするなどのことを求めるほか、1社に依存しないマルチベンダー戦略も要求している。
一方で、個々のセキュリティー対策については国レベルでの決定となるため、加盟国の中で個別にファーウェイ製機器を禁じる可能性は残っている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている