●WWDCでのARM Macのシナリオは?
アップルから特に何も発表はされていませんが、技術発展の動向からすると、ソフトウェア側の対応によってモバイル系のMacにARMを採用した方が製品の特徴をより強く打ち出せるのではないかと考えられます。そして、条件は整ってきているというわけです。
となると、macOSの新バージョンでのARMチップサポート、そして開発者にとっては、Intel、ARMどちらのチップでも動作するアプリ開発への意向をもって、ARM Macを登場させる環境を整えていくことになります。
そのため、WWDC 2020での発表と、変化に対して開発者に備えてもらおうというわけです。
すでにアップルはMac App Storeを整備しており、ARM非対応のアプリをARM Macに入れないようにする「振り分け」をすることができます。そのため、始めからすべてのアプリがARM、Intel両対応している必要はなさそうです。
おそらくARM対応しないアプリを「レガシーアプリ」扱いすることになるでしょうが、大規模なアプリがいきなりARM対応できなかったり、そもそもプロ向けアプリで用途をARM移植しないかもしれませんし。
ただ、将来的には、1つのコードでIntel、ARM双方で動作する形へ持っていくことになるのではないでしょうか。WWDC 2020でどんなロードマップを示すのか、また向こう1年でどんなところまで示すのか、注目しておきましょう。
長くなりましたので、もう1つの注目点であるiMacについては後編へ。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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