グーグルが力を入れるPixelスマホの価値を変えた「プロダクトインクルージョン」とは? (3/4)

文●山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

2020年10月09日 09時00分

プロダクトインクルージョンチームは、製品やサービス・技術のアイデアが企画される段階からローンチ、そしてその後の市場調査の段階も含めて包括的な視点を共有するガイドの役割を担っている

どうすれば異なる「個の」期待に応えるものが作れるのか

 グーグルが考えるプロダクトインクルージョンとは、製品やサービスをより良いものにするために、開発段階の全ての工程にEnd-to-End(始まりから最後まで)に関わってくるものだ。それぞれのテクノロジーや製品、サービスの開発に関わるエンジニアやマーケティング担当者など、スタッフと積極的に関わりを持ちながら「プロダクトインクルージョンチームは率先して“欠けているているものが何か”を問題提起して、議論の中で答えを導いていくガイドのような存在」なのだとバプティステ氏が説く。

包括的な視点を獲得するためには「ユーザー・ファースト」の視点に立って人々の“違い”に目を向けることが大切だという

 現在はプロダクトインクルージョンのエキスパートとして活躍するチームのメンバーも、最初から包括的な視点を身に着けていたわけではない。人と人の「違い」は人種にジェンダー、年齢や文化的背景など様々な要因によって生まれる。さらにそれらが複雑に交錯することによって「個」が形成されている。すべての個の立場をものづくりに反映することは言うまでもなくとても困難だ。

 そこでグーグルではまずプロダクトの開発過程における4つポイントに狙いを定めて、それぞれにプロダクトインクルージョンのあるべき形を模索してきた。4つのポイントとはすなわち「プロダクトの設計・開発段階」「ユーザー体験をデザインする段階」、そして「ユーザーテスト」と「マーケティング」であるという。4つのポイントのうち少なくとも2つの場面でプロダクトインクルージョンの視点を養えるようになると、そこから先験的に課題に取り組む姿勢が生まれ、さらに「みんなが使いやすいもの」にたどり着く可能性が高くなる。

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