グーグルが力を入れるPixelスマホの価値を変えた「プロダクトインクルージョン」とは? (4/4)

文●山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

2020年10月09日 09時00分

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グーグルでは全社にプロダクトインクルージョンの考え方を浸透させるための取り組みに力を入れてきた。その活動は社外にも広がりつつある

一人歩きを始めたプロダクトインクルージョンの概念は、グーグルの外にも広がりつつある

 バプティステ氏は、「Building for Everyone with Everyone/みんなによる、みんなのためのものづくり」を実現しようとする時に、いつも「Who else/ほかにも誰かが取り残されていないか」を意識することがプロダクトインクルージョンの基本姿勢なのだと説いている。あとはチーム全体で密接なコミュニケーションを交わすことで、結果として理想とする製品やサービスの原型が表れてくるという。

 グーグルではAndroidを採用する端末メーカーなど、外部のパートナーにもプロダクトインクルージョンの考え方を共有することにも力を入れて取り組み始めている。そして今後も一段と注力したいとバプティステ氏は意気込む。チームの経験値として得てきたノウハウをオープンソース化するために、グーグルはこの夏にバプティステ氏の著書として「Building For Everyone」を出版した。

 本書は残念ながらまだ日本語訳が出版されていないが、バプティステ氏は自著の中でグーグルの製品に活かされているプロダクトインクルージョンのアプローチについて、あるいはファッション界、医学界、テクノロジー業界でのケーススタディと成果について詳しく述べているそうだ。原語でならば電子版もオンラインで入手できるので、興味のある方はぜひ読んでみてほしい。

 「今後は一般の方に向けて、ショートビデオを通じてプロダクトインクルージョンのABCを伝えていきたい」とバプティステ氏は目を輝かせる。社内のYouTubeチームと一緒に、YouTubeのクリエイターに向けた啓蒙活動も始めているという。これからその成果はグーグルの製品やサービス、そして技術にどんな価値をもたらすのだろうか。とても楽しみだ。

 
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山本 敦

山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスの多方面をカバーする。ヘッドホン・イヤホンは毎年300を超える新製品をレビューしている。国内のみならず海外のイベントにも足を運び、商品企画・開発者に直接インタビューをする。

 

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