絵作りはほぼ同じ、センサーの違いへのこだわりは"感じる"かどうか
マルチカメラ搭載のスマートフォンでは、使うカメラによって画質が大きく異なることがある。ここでいうのは"品位"ではなく、絵の質。トーンカーブや発色などがまるで違って、違うカメラを持ち替えて使ってるような気分になるが、iPhone 12シリーズに関しては、どの端末のどのカメラを使っても、発色やトーンカーブ、とりわけシャドウへの引き込みのグレデーションなどに差は感じない。
では違いはというと、最も違いを感じたのはレンズの描写だ。
食事の写真ではないが、ティーカップを写した写真を見て欲しい。これは26mmの広角カメラで撮影したものだが、ワイドマクロ(広角のまま被写体に寄って撮影すること)の映像表現がうまく行った例だと思う。明るいF1.6のレンズと大きくなったセンサーフォーマットを使い、背景を適度にボカして立体的な映像にできた。
似たような絵はポートレートモード、あるいは他社製スマートフォンの類似機能でもできなくはないだろうが、ティーカップの縁のフォーカスが、奥と手前で微妙にずれつつ連続的に繋がっていることや、そこから感じられる自然な立体感は、画像処理だけでは得られないものだ。
年内に追加されるというApple ProResを用いることで、さらに自由な現像処理が可能になるだろうが、その際に重要なことはセンサー自身のノイズ特性だ。