松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルらしからぬiPhoneマスク対策 Apple Watchが必要とは (2/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2021年02月16日 09時00分

●3年待った機能

 アップルが2017年、iPhone Xで指紋認証から顔認証へと移行したとき、筆者は米国で暮らしていました。指紋認証の所作がなくなることに、非常に感動を覚えたものです。ところが日本に出張で帰るたび、Face IDについて「これは厳しい」という感想を持ち続けていました。

 日本で過ごしていると、11月頃からインフルエンザ予防でマスクをする人が増え、2月頃になると今度は花粉対策でマスクを継続。結局5月頃までマスクで過ごす、というのが筆者にとっても通例だったため、結局1年の半分くらいは、満足にFace IDが利用できず、マスクをずらしたら、パスコードを入力せざるを得ない状況を強いられてきたのです。

 一方、当時サンフランシスコ郊外のバークレーの街中で、病院や工事現場を除いてマスクをしている人は皆無。マスクをしていたら、何かを予防しているのではなく、重い病気を持っていてまわりに気遣っているのではないか、と思われるほどでした。

 ところが状況が変わってきたのは、カリフォルニアで大規模な山火事が起きるようになってからです。煙から逃れるために、街中でマスクを装着して過ごす人が増えるようになり、Face IDでロックが解除できないことを、アップルの本社がある地域でも経験するようになりました。

 そして今回の新型コロナウイルスの感染拡大です。マスクが当たり前になり、Face IDが無効化されてしまったことを、世界中の人々が経験するようになりました。そういう状況に陥って既に1年が経過しているので、対応が遅いと言うべきですが、今回やっと、Apple WatchによるiPhoneのロック解除が実現し、問題がひとつ取り除かれるかに見えました。

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