松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル「WWDC21」注目はU1チップ、そしてメガネ (4/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2021年04月13日 09時00分

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●ところで、メガネのMemoji…

 さて、今年のWWDCのテーマとなる画像は、MemojiがMacBook Proを開いているMemojiです。このシーンは、2020年に発表されたM1 Macのプレゼンテーションで、ソフトウェア開発のトップであるシニアバイスプレジデント、クレイグ・フェデリギ氏がMacのディスプレーを開けた際、macOS Big Surの標準壁紙のカラーが映り込む演出から来たもの。

 Memojiは何種類か用意されており、人種多様性を表現する意味合いもありますが、1つ不自然なのは、フェデリギ氏がかけていなかったメガネを装着している点。つるのないメガネはもともとMemojiに用意されていますが、このメガネが憶測を呼んでいるのです。アップルにはともとARやVRのゴーグル、あるいはグラス開発の噂があったからでした。

 アップルはハードウェアのリリースの前に、ソフトウェア開発が伴う場合は、先にWWDCで発表して開発者に先行時間を与え、製品リリース時までに面白いアプリが揃っている状態を作り出します。

 たとえば、直近ではM1搭載のMacを2020年6月のWWDCで発表し、開発者向けにはM1ではなく、A12Z BionicをMac miniの筐体に搭載した開発者キットを提供。そしてM1搭載Mac3モデルを2020年11月に発売しました。この先行期間が1年あるいは1年半になるかもしれません。

 アプリが動くハードウェアが出るなら、発売する前に開発環境を明らかにするのがアップルの流儀です。となると「Appleグラス」のような製品もしくは新しい製品プラットホームをWWDC21で披露し、発売を年内もしくは2022年に設定する、といった流れも考えることができます。

 とはいえ、単に画面に映っているカレンダーのアイコンを見せたかっただけかもしれませんが……。

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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