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NokiaスマホのHMD GlobalがMVNOに進出! 端末とネットワークの一体モデルに挑戦 (1/2)

文●末岡洋子 編集● ASCII

2021年05月13日 12時00分

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 Nokiaブランドのスマートフォンを展開するHMD Global(フィンランド)が、英国でMVNO事業をスタートさせた。消費者は端末と通信サービスの両方をオンラインで入手でき、サポート窓口も一元化できると売り込む。

直販サイトで自社が展開するMVNOの契約もセットで提供するNokiaスマホのHMD Global

5Gスマホを含む6機種を一気にローンチ

 HMD Globalは、Microsoftによる買収、Lumiaとして展開していたスマートフォン事業の打ち切り……と数奇な運命をたどったNokiaの端末事業をMicrosoftから取得し、(ネットワーク機器を主事業とする)Nokiaから“Nokia”ブランドを独占的にライセンスを受け、スマートフォンを製造するフィンランドのメーカーだ。OSはAndroidを採用する。

 同社は4月始めに、上位のX-series、ミドルのG-series、エントリーのC-seriesの3ラインで2機種ずつ、最新製品を発表した。

 たとえば、新たに導入したX-seriesは、X20とX10の2機種ともSnapdragon 480 5Gを搭載した5Gモデルだ。OSはAndroid OneプラットフォームのAndroid 11で、3年間毎月セキュリティアップデートを受けられる。

 6.67型でフルHD+解像度のディスプレーを搭載、カメラはZEISSとの協業を売りにしている。中でも上位となる「Nokia X20」はリアに64メガ、インに32メガのカメラを採用。6GB/128GBと8GB/128GBの2モデルから選択可能で、グローバルの予想価格は349ユーロ~(約5万3000円)となっている。

 HMD GlobalのCEO、Florian Seiche氏は「HMD史上最大のローンチ」として、これら端末と合わせて、MVNO事業として「HMD Mobile」も発表した。そのHMD Mobileが4月末、第1弾として英国で実際にスタートした。

同社トップのFlorian Seiche氏

Nokiaスマホ向けのMVNOとして展開する「HMD Mobile」

 HMD MobileはNokiaスマホのサイトから端末と一緒に申し込むオンラインオンリーのMVNOだ。英国ではEEのネットワークを利用する。2年契約などの縛りがなく、いつでも解約できるため「プリペイドとポストペイド(契約)の”いいとこどり”」をうたう。専用のアプリを使って、契約の自動更新と手動更新を切り替えたり、使用したデータ量をチェックすることなどができる。

 データ量は10GB/15GB/25GBの3種類で、それぞれ月15ポンド(約2300円)、18ポンド(約2800円)、25ポンド(約3800円)。さらに90日(3ヵ月)の契約にすると端末に割引が適用される。たとえば、上記の「Nokia X20」では月15ポンドのプラン(通話とテキスト無制限、EU内は追加のローミング料金なし)を90日45ポンドで契約することで、Nokia X20が319.99ポンド(4万9000円)で購入できる。

 英国においてはMVNOの歴史は古く、世界初のMVNOであるVirgin Mobileなどの専業サービスだけでなく、TescoやAsdaなどのスーパーマーケットにTV局まで、ありとあらゆる(とまではいかないが)企業が参入している。消費者がMVNOに慣れているという土壌もあるが、それにしてもなぜスマホメーカーであるHMDがMVNOをするのか? という疑問が浮かぶ。しかも、HMDにとってはMVNOを含む通信キャリアはパートナーでもあるのだ。

 実はこれまでもHMDは、「HMD Connect」として約150ヵ国で使えるグローバルローミングサービスを提供してきた。HMD Mobileはそれを踏まえてのMVNOサービスとなる。MVNO事業の狙いについてHDM GlobalのSeiche氏は、「モバイルのすべてを提供するプロバイダーとしての重要なステップ」と述べている。

 HMDは、英国在住者の約3分の2が、実際のモバイルデータ使用量よりも多く支払っているという調査も紹介している。

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