光学系とAIの組み合わせが今後の競争軸に
スマートフォンの世界では、アップルに代表されるように「コンピュテーショナルフォトグラフィー」という取り組みが一般的になりつつある。カメラセンサー自体は小さいが、AIなど機械学習の力で画質を上げるというものだ。暗い場所が明るくなり、風景なども鮮明な色合いになることでSNS映えするだけに、ユーザーの支持も高い。
老舗のカメラメーカーとして地位を築いてきたライカだが、AIで画質を上げるコンピュテーショナルフォトグラフィーを、どのように考えているのか。
ヴァイラー博士は「コンピュテーショナルフォトグラフィーはスマートフォンの小さいセンサーで画質を上げることができる。我々もそうした知見は充分、持っている。ノイズを減らしたり、ダイナミックレンジを広げたりするなど、様々なテクニックで処理できる。
コンピュテーショナルフォトグラフィーで美しく見せることは可能だが、ただ、やはりどうしても過剰な処理になりがちで、やり過ぎ感が出てしまう。
便利なものであることは間違いないが、やり過ぎると自然な発色、描写ではなくなってしまう。そうした特性を知った上で使うべきだろう」と語る。
コンピュテーショナルフォトグラフィーは、アップルやグーグルが強かったりするが、一方で、この2社もセンサーや手ぶれ補正など光学的なアプローチで画質を上げる努力も惜しんでいない。
ライカはカメラメーカーだからこそ、光学的なノウハウで画質を上げるアドバンテージに強みがある。
まさにスマートフォンのカメラは、AIやチップセットで処理する画質と、レンズやセンサーで勝負する画質、この2つをいかに融合させていくかが、これからの競争軸になっていきそうだ。