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【2週間レビュー】おせっかいなAIコーチが心地いい。Apple Watchにはない「Google Pixel Watch 5」の魅力

文●山本 敦 編集●ASCII

2026年09月04日 12時00分

 グーグルの新しいスマートウォッチ「Google Pixel Watch 5」を、発売される少し前から約2週間にわたって試しました。今、Pixel Watch 5を選んだ時に実感できるメリットと、どこに物足りなさが残るのか、筆者が感じた印象をストレートに報告したいと思います。

 ケースのサイズには41mmと45mmの2種類があります。Google Storeの価格は、Bluetooth/Wi-Fiモデルがそれぞれ6万2800円と6万7800円、LTEモデルが7万9800円と8万4800円です。

グーグルが発売した新しいスマートウォッチ「Google Pixel Watch 5」を約2週間身に着けてテストしました

画面の明るさやバッテリーなど基本が充実

 今回筆者が試したのは45mmのLTEモデル。カラーは、Satin Pyrite(サテン パイライト)で、アルミケースにオリーブのバンドを組み合わせた仕様です。

 初代Pixel Watchのたたずまいにはデジタルガジェット感が色濃く、ビジネスウェアとの相性はあまり良くなかった印象がありました。

 5世代目に到達した本機は、前世代のモデルからドーム状のガラス風防を継承して、落ち着いた腕時計らしい品格を備えています。

新色サテン パイライトのアルミケースに、オリーブのバンドの組み合わせ。バンドの肌なじみがとても良いです

 Actua 360ディスプレーは最大輝度3000ニトの明るさが魅力。夏の強い陽射しの屋外でも高い視認性が得られます。参考までにApple Watchの最大輝度はUltra 3が3000ニト、Series 11が2000ニトです。

明るさ最大レベルで表示。夏の明るい陽射しの下でも鮮やかな表示を実現しています

 付属する水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)素材のアクティブバンドは肌当たりもよく、45mmの大きな方のウォッチでも睡眠トラッキング中に負担を感じにくく、終日健康状態を記録するデバイスとしても自然に使えます。

 ほかにウォッチの基本的な使い勝手を左右するポイントとしては、バッテリー持ちの良さと充電スピードの速さが光りました。45mmモデルの公称バッテリー駆動時間は最大40時間です。実際には丸1日使った時点で残量が40%前後になることが多くありましたが、付属のUSB-C急速充電ホルダーにつなぐと短時間で回復しました。

 グーグルは公称約15分の充電で50%程度がチャージできると伝えています。実際にこのような感触でした。入浴中などの短い時間に充電し、就寝前に再び充電100%の状態で睡眠トラッキングに活用できます。

ウォッチとの一体感が感じられる
生成文字盤とジェスチャー操作

 今年のPixel Watchらしい機能が「生成ウォッチフェイス」です。ウォッチに話しかけてイメージを伝えると、画像生成AIの「Nano Banana」がオリジナルの文字盤を作ってくれます。

 一度で狙い通りの文字盤が生成されることはあまりありませんが、ウォッチと対話しながら試行錯誤を繰り返す過程そのものが楽しめます。完成したオリジナルの文字盤を表示すると、ウォッチへの愛着も少し深まりました。Pixelスマートフォンにも同様のAIによる壁紙生成機能がありますが、ウォッチはより頻繁に文字盤を見る機会があるので、生成AIによるパーソナライゼーションの効果を身近に感じます。

Nano Bananaで独自の文字盤を生成できる機能を新規に搭載しました

生成したい文字盤の漠然とした雰囲気を話しかけて伝えます

まあまあ、それらしい雰囲気の文字盤に仕上がりました

 親指と人差し指を、つまむように素速く重ね合わせる「ダブルピンチ」と「手首をひねる」という2種類のハンドジェスチャーにも実用性を感じました。通知カードを開いたり、画面のスクロール、音楽の再生と一時停止、ワークアウト計測の開始と停止といったシーンで反対側の手を使わずに操作ができます。

 ユーザーが必要とするタイミングで、状況に応じた動的な最新情報をウォッチの画面に表示する「At a Glance」の機能と、ハンドジェスチャーの相性も良好です。たとえば「朝のブリーフィング」を開いたり、画面スクロールの操作がダブルピンチで行えるので、出かける身支度をしながら睡眠スコアやエナジースコアが手早く確認できます。

 Pixel Watch 5では、「ダブルピンチ」によるジェスチャー操作が使える場面になると、画面に指の形をしたアイコンがガイダンスとして表示されます。ジェスチャー操作は便利な反面、慣れないうちは誤操作を招くこともあるため、こうしたガイダンスを頼りにしながら、少しずつジェスチャー操作を体得できる設計は親切だと思います。

ダブルピンチによる操作が使える場面では、画面に指の形のアイコンが表示されます

 Apple Watchも現行ラインナップの3モデルが、親指と人差し指を2回合わせる「ダブルタップ」に対応しています。ただし、Pixel Watch 5ほど明示的なガイダンスはなく、ユーザー自身が使いながら、対応する場面や操作方法になじむ必要があります。この点ではPixel Watchの方が、ジェスチャー操作をユーザーに定着させるための工夫を巧みに取り込んだと言えます。

 一方のAt a Glanceは、近年のiPhoneに搭載されている「Dynamic Island」のように、アニメーションを活用した表示とタッチ操作に対応する通知機能です。Googleウォレットに登録した搭乗券、ライドシェアサービスの移動状況などをリアルタイムにアップデートしながら、ユーザーが「いま必要な情報」を先回りして届ける便利な機能として、今後の用途拡大が期待されます。

ウォッチにペアリングしているスマホで「カメラ」アプリを立ち上げると、ウォッチからのリモートシャッター機能が使えることをAt a Glanceのユーザーインターフェースが知らせてくれます

「手首をあげて話す」には便利な使い道がありそう

 Geminiをジェスチャー操作で呼び出す「手首をあげて話す」もよくできている機能です。2025年モデルのWatch 4から正式に搭載されています。

 筆者はトレーニングジムに出かけた時に、ウォッチを装着した手首を口元に持ち上げて、Geminiに話しかけるだけでワークアウトの開始と終了を音声で操作する使い方にハマりました。画面やボタンの操作では複数の手順が必要です。音声操作ならワンアクションで完結するので気持ちが良いです。

手首を上げてGeminiを起動。ワークアウトの開始・停止を画面に触れることなく音声だけでシンプルに操作できます

 ウォッチはユーザーの身体に最も近いAIデバイスです。マイクを内蔵する本体を手首ごと口もとに近づけることができるので、ワイヤレスイヤホンよりも音声操作の「距離感」はなじみやすいと思います。BGMが鳴っているカフェのように少し騒々しい場所でも、手首を持ち上げて小声によるコマンド入力を受け付けてくれました。ジェスチャー操作と声の感度、起動時に画面下へ出るインジケーターの表示は設定で変更できます。

 もちろん、通勤電車のように音声操作を気軽に利用できない場面もあります。Pixel Watch 5は声を出せない時には通常のタッチ操作や、ソフトウェアキーボードも併用できるので、音声だけに操作を押しつけられない点も安心です。

AIがヘルスケアやワークアウトのデータに「意味」を与える

 健康管理では、ウォッチが測定した数値をただ並べるだけでなく、「Google Healthコーチ」がフィットネスや睡眠の結果を読み解き、AIが質問に答えてくれる「コーチに質問」機能がユニークです。詳細はグーグルが5月に発売したフィットネストラッカー、Google Fitbit Airのレポートをご覧ください。

 Apple Watchは、計測したユーザーのヘルスケアデータに対して、必要以上の評価やアドバイスを加えません。基本的にはただデータを提示するだけです。

 対するPixel Watchは、AIに伴走してもらいながら健康管理を続けたい人にとって、少しおせっかいに感じるほど積極的に評価やコメントを添付しながら返してくれます。それがむしろ、その日の行動を決める指針にもなると筆者は感じました。

 Fitbitが蓄積してきた知見とGeminiを結びつけた「コーチに質問」の機能も、的確なアドバイスに加え、時には心温まる励ましの言葉をかけてくれます。海外のユーザーには必ずしも歓迎されないかもしれませんが、日本では「コーチのキャラクター」を選べるようにしたり、ビジュアル化されたキャラクターを実際に活躍させるのも面白そうです。

何となく目覚めがわるく、エナジースコアも低めだった朝に、Google Healthコーチに質問してみました。今日の過ごし方や、夜に眠りづらかった時の対処方法など、コーチが暮らしに役立つアドバイスを授けてくれます

 今後は「Health Guardian」機能として、血管ストレス、睡眠中の呼吸の質、代謝ストレスという3種類の月次トレンドを知らせてくれるヘルスケア関連の用途が、ソフトウェアアップデートにより追加される予定です。いずれも最初の詳細なサマリーが届くのは、ウォッチの装着を始めて約1ヵ月後です。

 各用途は、医療診断やリアルタイムな健康状態の監視を目的とするものではありません。今回はまだ試せていませんが、長期的な健康状態の変化を知る手がかりになる機能として筆者は注目しています。

もの足りなかった、ワークアウトの自動判定とiPhone非対応

 最新世代のPixel Watchでもまだ改善するべき余地が残されていると、筆者が感じた点もあります。

 ひとつは「ワークアウトの自動検知」です。筆者の場合は「コアトレーニング」の終了が自動で判定されず、丸1日ほど計測が続いてしまったことがありました。帰宅後に長時間動いていない、あるいは眠りに入ったといった状況まで加味すれば、「運動が終了した可能性」を自動判定することは難しくないはずです。検知する種目の拡大とともに賢い判定力の向上にも期待します。

 もうひとつの非常に残念な点は、Pixel Watchが今回もまだiPhoneに対応しなかったことです。先に触れた新製品のフィットネストラッカーのFitbit AirがAndroidだけでなくiOSもサポートしたので、次はPixel Watchも! と、筆者は個人的に期待したのですが、夢はかないませんでした。

 Apple Watchを追う立場であるPixel Watchこそ、iPhoneユーザーにも門戸を開いて、積極的にスマートウォッチ市場のシェアを奪いに行くべきです。FitbitサービスとGeminiの融合が進んだことで、Pixel Watch 5はとても魅力的になりました。だからこそグーグルには自信を持って、Apple Watchのシェアを奪いに行くガッツを見せてほしいです。

Google PixelやAndroidスマホとの相性は抜群に良いPixel Watch。早くiPhoneにも対応するべきだと筆者は思います

 何はともあれ、これからHealth Guardianをはじめ、ソフトウェアアップデートによる機能追加もまだ控えています。さらに完成度を高めながらPixel Watchはどこまで進化するのでしょうか。これからも目が離せないスマートウォッチです。

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