●MacBook Pro 16インチとiPhone 11 Proが成立できたタブー
外見が完成し変化しなくなっても、中身は進化を続けます。その最たる例がMacBook Pro 16インチモデルです。
2019年11月に発表された最新モデルは、特にグラフィックス性能が大幅にアップグレードし、MacBook Proを離れゲーミングPCに移ったグラフィックス性能を重視するプロクリエイティブユーザーを呼び戻すだけの実力に追いつきました。
16インチモデルは15インチモデルの基本的なデザインを踏襲しますが、排熱性能を大幅に向上させ、プロセッサの性能を引き出す、というよりは熱によってリミッターに当たらないようにしています。またキーボードは薄さ追求から打ち心地と信頼性重視のシザー構造に戻され、0.45mm厚さが増しました。
結果的に、システムとしては0.8mm厚くなり、「新モデル」として登場しました。いままで薄くなり続けてきた製品が、新モデルで厚くなることは、近年で非常に珍しいアップデートだった、とふりかえることができます。おかげで、キーボードは好評だし、パフォーマンスにも余裕を持たせることができました。
同じことがiPhone 11 Proにも言えます。iPhone 11 Proは5.8インチモデル、6.5インチモデルともに厚みを増し、また大幅に重くなりました。iPhone 11 Pro Maxはさすがに片手で持って親指で操作すると、筆者の場合すぐに腱鞘炎になってしまうほど重たかったです。
こちらもMacBook Pro 16インチモデル同様、厚みが増すことで、Proの名に恥じないバッテリー持続時間の大幅な向上を実現しており、5.8インチでは4時間、6.5インチでは5時間も長く使えるようになりました。週末、省電力モードにすれば、充電なしでも土日を過ごせるほどです。
物理的にはネガティブな進化となる厚みの増加。その恩恵は十分すぎるほどに得られている、と言うのが印象です。もちろん、持ち運ぶモノを無闇に大きくし続けることには反対です。しかしパフォーマンスやバッテリーなどのニーズもまた理解でき、それが製品の存在価値を大幅に高めるなら、やるべきだと判断して正解だとも思います。
なんとなく、今までのタブーを崩しつつあるのが、2019年のアップルの新製品群だったのかもしれない、と考えることができます。