松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

iPadでリモートワークはできるがオンライン授業はまだ先だ (2/4)

文●松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

2020年03月05日 09時00分

●中国ではiPadに需要、供給不足の可能性も

 中国では2月上旬の春節休みを延長する形で学校の閉鎖が続いています。そこで自宅での学習を支援するため、バイドゥやアリババなどの巨大テクノロジー企業が通信インフラ企業とともに、インターネット授業配信の仕組みを急速に完成させました。2億人近い子どもたちが、インターネットを通じて学習を継続できる仕組みを整えています。

 そのため、スマートフォンではなく画面が大きなタブレットへの需要が一時的に高まることが予想されています。スマートフォンの1人1台化も進んでいましたが、教材としてのタブレットも1人1台の必携ツール化していくかも知れません。

 ただし問題は製造面。アップルはiPadを含む中国国内での製造能力を、通常ジの3割程度までしか回復できていないと伝わってきます。そこに自宅学習向けの特需が押し寄せる場合、供給不足に陥ってしまう可能性が考えられます。

 このことは日本も無関係ではありません。日本は新学期である4月に向けて、学校や個人が学習向けのデバイスの購買を進めていきます。また企業も、4月からの新しい年度に向けて、導入を進めるタイミングにもなります。

 これとiPadの中国での需要の高まり、そして製造能力の制限が重なることで、日本の教育機関や企業などの大量導入需要に応えられない可能性が出てきてしまいます。また日本では企業が在宅勤務を推奨し、また学校が休業となって自宅学習化が進むにつれ、やはりiPadに対する需要が大きくなるでしょう。

 3月3日現在、日本のストアではiPad Airの256GB Wi-Fiモデルで、納期が2週間程度に伸びはじめています。また日本のAmazonでもiPad AirのゴールドモデルやiPad Pro 11インチ、12.9インチの多くのモデルを中心に「在庫切れ・入荷未定」となっています。

 普段だったら在庫切れになってきたら「そろそろ新モデル?」なんて勘ぐるタイミングですし、3月というタイミングもぴったりなのですが、今年の場合は新モデルに加え、

・ 中国などでの需要の高まりで品薄状態
・ サプライチェーンや組み立てなど、中国の製造能力の回復に遅れ

 という2つの可能性も考えられます。

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