●元に戻らない可能性も
「アフターコロナ」の議論も拡がりつつありますが、生活様式、経済について、完全な形で元に戻るとは考えていません。それはいくつかの理由があります。
まず1つ、新型コロナウイルスはまだ収束を見ておらず、進んでいるとはいえ、予防法、治療法が完璧な形で確立されたわけでもありません。
引き続き、先進国、新興国を含め、極力移動や人との接触を避ける生活を続けて、自分や家族、周囲の人々を感染リスクから遠ざけていく必要があります。いわば、新しいマナーのようなものが設定されつつあるとみています。
加えて、現在の生活に不自由が大きいことは多くの人が共感するところだと思う一方で、むしろメリットを感じる部分を見出すポジティブな人も出てきているのではないでしょうか。
たとえば、家の中の住環境をより充実させたり、住まいの中に仕事や学びの場を設けてみたり。そうしたモバイルではない環境の充実が、より広い世代に拡がることは、モバイル偏重だったテクノロジーの世界にとっても面白いトレンドになるのではないでしょうか。
そして、デスクトップもノート型も、タブレットもすべて残していて、セットトップボックスまでラインアップしているアップルの強さがまた、際立ってくる1年になりそうです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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