日本版でも使える衛星通信
キャリアに依存しないeSIMの端末間転送

　ところで衛星通信によるSOS機能が日本では使えないことに、少し寂しさを感じる読者もいるかもしれないが、実は日本向けのiPhone 14 Proシリーズにも衛星通信機能は備わっている。

　ただしこの機能はSOS発信を受け付けたコールセンターが、適切な対応を取れる機関と連動するなど、インフラとしての整備が不可欠。北米で先行導入の背景には、そうしたシステム面でのノウハウ収集がある。

　一方で北米であれば利用できることになる。つまり日本で購入した端末でも、北米に持ち込めば、その場所では衛星通信を使ったSOS機能を使える。流石に実際に試す機会はないが、言い換えれば将来、日本での体制が整えば使えるようになるということの裏返しでもある。

　基調講演で言及されていたeSIMの端末間転送だが、キャリアのサービスを通さずに端末と端末の間で簡単にeSIMを移すことが可能になっている。実際に試すまで詳細の判断はできないが、これができるのであればかなり画期的。

　従来と同じようにキャリアが発行するQRコードでの移行も行えるが、そうしたサービスを介さずにeSIM転送ができる最初の事例となるだろう。

筆者紹介――本田雅一
　ジャーナリスト、コラムニスト。ネット社会、スマホなどテック製品のトレンドを分析、コラムを執筆するネット/デジタルトレンド分析家。ネットやテックデバイスの普及を背景にした、現代のさまざまな社会問題やトレンドについて、テクノロジ、ビジネス、コンシューマなど多様な視点から森羅万象さまざまなジャンルを分析する。