松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルがiPad AirにA14チップを入れたのは「Better」が求められる時代だから (2/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年09月17日 16時00分

●Macで当たり前だったラインアップを、すべての製品へ

 Macの製品ページを見ると、ほぼ必ず3つのパターンが提示されていることが分かります。最も価格が安いベーシックな構成、プロセッサやグラフィックスなどが向上している中価格帯、そしてより高いパフォーマンスを発揮する上位モデル。

 Macの場合、筐体が同じでもプロセッサのシリーズや、クロック周波数で性能が異なるモデルを用意しており、さらにCTOモデルでよりハイパフォーマンスのモデルを選択することもできます。色々検討する中で、やはり検討し始めやすいのは真ん中のモデルであり、大体の人はミドルレンジのモデルを選べば最良の選択になる、という算段です。

 実はMacは、製品ラインアップでも、3つのパターンが提示されていることにお気づきでしょうか。たとえばノート型なら、MacBook Airを中心に、より上位モデルのMacBook Pro、逆により手軽に使いたい人にはMacBook(現在は販売終了)という選択肢が与えられます。

 このようにアップルは、3つの選択肢を提示して、顧客にとっては検討のとっかかりを与えつつ、結果的にミドルレンジに人気を集中させるという戦略を採っており、これはウェブサイトでの紹介だけでなくApple Storeでの接客にも反映されています。

 このGood、Better、Bestの法則を、あらゆる製品ラインに適用してきた —— アップルの2020年を振り返ると、そうした活動が浮かび上がるのです。

 2020年4月に発売されたiPhone SEによって、ミドルレンジのiPhone 11を中心に、上位モデルのiPhone 11 Pro、エントリーモデルのiPhone SEという3つの選択肢を与えました。実は、この3つのモデルは同じA13 Bionicチップを搭載し、処理性能やグラフィックスは同等。ディスプレーサイズとカメラの数で差別化しています。

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