松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルがiPad AirにA14チップを入れたのは「Better」が求められる時代だから (4/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年09月17日 16時00分

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●ミドルレンジの充実は、時代の流れでもある

 とはいえ、iPad Airに、2019年モデルのiPhoneと同じA13 Bionicを搭載するという選択肢もあったはずで、A14をiPhoneに先んじて採用した背景は、製品マーケティングとしてミドルレンジの充実という方針が合ったからではないでしょうか。

 新型コロナウイルス、米中摩擦など、国際的なリスクを強く感じる中で、11月には米大統領選挙を迎えます。その米西海岸は未曾有の規模の山火事に見舞われ、その煙は既に東海岸のニューヨークにまで到達しています。特に米国は失業率も高止まりしており、決して経済が明るい状態とは言えなくなっています。

 そうした中、ハイエンドモデルの凄みで顧客を驚かせるやり方では、顧客の信頼を勝ち得ないという肌感覚が存在しているのではないでしょうか。むしろ多くの人々が選択するミドルレンジの製品の性能を高めて充実させることが、今の時流にフィットする製品マーケティングになっているとの判断が働いているのではないでしょうか。

 さっそく、ジョズニアック氏のセンスと手腕が試されており、製品展開の変化を見出すことができるのです。

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