松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル新型「MacBook Pro」タフでパワフルな相棒 (4/5)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年11月17日 23時00分

●処理性能も省電力性と両立

 「4K/24fpsのHDRビデオを編集してProRes 422 HQで出力」。

 少しコンピュータの性能に詳しい人が聞くと、「うわー」と少し身構えるレベルの作業といえます。最近の13インチMacBook Proならこなすことはできますし、16インチMacBook Proでやるべき作業かもしれませんが、いずれもファンを唸らせ、排熱しながらの作業を余儀なくされます。

 ところが、M1チップ搭載の13インチMacBook ProでFinal Cut Pro Xの編集作業をしたところ、終始ファンが回ることなく、スムーズにプレビューが再生され、コマ落ちすることもありませんでした。

 そして書き出す際の速度も驚くべき速度です。前述の4K/24fps HDR、3分42秒のビデオをApple ProRes422 HQ、出来上がり約20GBのビデオファイルに書き出してみたところ、M1搭載13インチMacBook Proは1分27秒でした。

 第10世代クアッドコアIntel Core i7 2.3GHzを搭載する2020年モデルの13インチMacBook Proで同じプロジェクトを書き出したところ、3分15秒かかりました。

 さらに、2019年モデルの8コアIntel Core i9を搭載する16インチMacBook Proで書き出したところ、1分51秒。M1チップが25秒ほど早いという結果となりました。

 M1チップにはHDRのエンコード・デコードアクセサレータが搭載されており、iPhone 12で撮影できるHDRビデオを編集する際の高速化を実現しています。

 次世代iPhoneに標準搭載する性能を知った上でM1チップ搭載のMacを設計しているわけで、少しずるい勝負にも思えるかもしれませんが、裏を返せば、アップルとしてはそういう実利用でのスピードが稼げるMacを適時投入してたかったという話。

 もう1つ面白い比較は、消費電力です。先程のビデオエンコードですが、同じ13インチMacBook Pro同士で比較すると、M1チップでは2%しかバッテリー残量が減りませんでしたが、Intelチップを搭載したマシンでは5%減っていました。

 ここでもM1チップの特性を垣間見ることができました。

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