Android XR搭載スマートグラス「Project Aura」のメガネ型空間コンピューティングを体験して衝撃!

文●山本 敦 編集●ASCII

2026年05月21日 09時00分

 グーグルが主催する開発者向け会議「Google I/O 2026」では、Android XRに関連する最新動向が伝えられました。プレゼンテーションの中では言及されなかった、XREALが開発を進める「Project Aura」を会場で体験できました。実機のインプレッションを報告します。

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Google I/Oの屋外展示スペースでXREALが開発を進める「Project Aura」を体験してきました

現時点で最も完成度の高い
Android XR搭載のスマートグラス

 Google I/Oの会場では、Gemini搭載スマートグラスの体験展示に加えて、XREALが開発を進めるAndroid XRベースのヘッドセット「Project Aura」の体験エリアが、別の場所に用意されていました。

 Project AuraはグーグルのAndroid XRプラットフォームとGemini、そしてクアルコムのSnapdragonプロセッサーを組み合わせることで構築する、XREALによる最新のスマートグラスです。

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Project Auraのスマートグラス本体。透過型シースルーディスプレイを採用しています

 Galaxy XRヘッドセットに代表される、大きなフルサイズのヘッドセットと同一のOSおよびチップセットを採用しており、共通のフィンガージェスチャー操作やアプリ群を利用できる完全な互換性を想定しています。

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フィンガージェスチャーを認識するためのセンサーを搭載しました

 それでいて、Project Auraは大幅な軽量化を実現している点が特徴です。

 ハードウェアの構成はスマートグラス本体と、主要な演算処理部・バッテリーを分離した有線接続のハンドヘルドサイズのデバイスです。スマートグラスの側にはディスプレイのほか、表示にセンシング、そして低遅延処理等を担うXREAL純正の「X1S」チップを搭載しています。

 そして、Android XRのプラットフォームに関連する処理などを担うSnapdragon系のチップと、電源など重量のあるコンポーネントは、スマートグラスとケーブルでつながる「パック」という名称の外部デバイスにあります。セパレート構成としたことで、スマートグラスの本体重量は95g未満に抑えられています。

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スマートグラスとケーブルでつながる外部デバイスの「パック」

フィンガージェスチャーの操作感も上々

 実機を装着してみると、フルスペックのXRヘッドセットと比較して約6倍の軽量化が図られていることから、顔や首への負担が軽く、長時間の使用を想定した合理的な設計であることがわかります。

 画面に表示されるオブジェクトは、ユーザーのフィンガージェスチャーを本体に内蔵するカメラが捉えて、操作コマンドに変換します。Apple Vision Proに似た操作感覚です。

 Project Auraのジェスチャー操作の反応はもう少し精度を追い込める段階にあると感じました。Googleマップをベースにした3Dマップアプリ「Immersive Map」の体験では、両手で画面をホールドしてから、ピンチイン・アウトズームでマップの表示が操作できたり、直感的なユーザーインターフェースのデザインがよく練られていたと思います。

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グラスとパックの間を専用のケーブルで接続します

 外部デバイスのパックには指紋認証用の生体認証センサーがあるだけでなく、本体の表面全体がトラックパッドとして機能します。これにより、空間上に展開されたインターフェースを手元のパックを用いて、正確かつ安定して操作することも可能です。

 視覚的な表示性能に関しては、microOLEDディスプレイと光学シースルー方式(透過表示)の組み合わせにより、XREAL史上最大となる70度の広視野角(FOV)を実現しています。

 表示される映像は解像度が高く、とても明るく視認性にも優れていました。電子式のシェードにより、グラスの透過度を段階的に調整し、映像の背景を暗くして没入感を高めることもできます。

 屋外などの明るい環境下であっても、高いコントラストを維持したまま映像を視聴できるメリットがあります。

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電子式のシェードは「濃さ」を調整可能。写真は最も透過表示にした状態

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シェードを濃くすれば、表示される映像に集中できます

 ほかにも空間コンピューティングの機能としては、6DoFの高度なセンシングに対応しています。RGBカメラと2つのトラッキングカメラ、さらにはハンドトラッキングや空間オーディオ機能を活用し、YouTubeやChrome(WebXR)といった各種アプリケーションのウィンドウを、指でつかんでから、空間上の任意の場所に固定できます。

 最大で5つのウィンドウを同時に開けるので、物理的なモニターが置けない場所で仮想的なマルチモニター環境をつくることもできそうです。

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パックには指紋認証センサーも搭載しています

Android XRならではの新しい用途を開拓できるか

 現行、XREALのスマートグラスの多くはAndroidベースの「nebulaOS」を採用し、スマホやPCの画面をミラーリング出力する外部ディスプレイとして機能することをコンセプトにしています。

 対するProject AuraはAndroid XRを基盤とした独立したエコシステムとして位置付けられます。外部機器に依存することなく、Google Playなどから直接アプリケーションをダウンロードし、スタンドアロンに近い形でアプリを実行できる処理能力を備えています。

 加えて、デバイス上でリアルタイムに機能するオンデバイスAIの処理能力も確認できました。映像の空間化技術を用いて、動画や写真などあらゆる2Dコンテンツを本体ボタンのクリック操作だけで、素速く3D表示に切り替えることができます。

 内蔵のGeminiに音声で話しかけて「空間ペイントアプリ」を立ち上げ、実空間の中に絵を描く体験もできました。AIと空間コンピューティングの融合による、Android XRならではの用途が開拓できそうです。

 Project Auraのように、より気軽に身に着けられるAndroid XR搭載のスマートグラスが、今後のウェアラブルAIデバイスの可能性をどのように拡大するのか、引き続きその動向に注目する必要があります。

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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