アクションモードは撮影時に走っても安定するほど。画角は超広角カメラで20mm相当ぐらいの間隔で撮影できる
「一目でわかる」違い、離れられなくなるシンプルさ
アクションモードは4Kで捉えた映像を切り出して、手ブレを電子的に補正して安定させる。そのため焦点距離にして1.7〜1.8倍程度の望遠寄りの画角になる。このため超広角レンズで撮影することが多いことになるだろう。実際、デフォルトでは0.5倍カメラが選択される。
同じくアクションモードの映像
アクションモードが素晴らしいのは、言い換えれば超広角カメラの質が高く、明るいレンズで高速シャッターが切れるからこそ、アクションモードでの動画が成立するとも言えるだろう。明るいレンズを搭載し、映像処理が見直されたことで超広角カメラが高画質になったからこそ、アクションモードを手軽に使いこなせるとも言える。
狭い店内でモデルを追いかけながらの撮影をアクションモードでしてみたが、当然ながら歩きながらの撮影では、まるでステディカムのようにだ。「アクション」ではあるが、必ずしもGoProのような使い方をする必要はなく、自分自身が動きながらの撮影で積極的に使えばいい。
前述したピンが合っている距離より手前のボケ(前ボケ)をきれいに描写する機能も、被写体の切り抜き精度が高いかといえば、確かに改善されているが完璧ではない。髪の毛の切り抜きでは不自然な部分も残る。
しかし、切り抜きは完璧ではないが、奥行きを表現するボケがより自然になったことで、写真全体を見渡した場合の「いい感じ」は増している。こうした感覚的な調整がかなり進められている。
シネマティックモードは24フレームをサポートすることで、絵作りやボケ感だけでなく、動きボケやパラパラ感も映画っぽく描ける。4Kでの記録も可能になった
4800万画素センサーを搭載するメインカメラの画質も、数字ではなく描写で評価するならば透明感のあるたたずまいで、スマートフォン内蔵カメラの域を超えていることを「感じる」が、実は操作性の面でもよい影響を与えている。
4800万画素センサーのメインカメラは25mm相当の画角から24mm相当に広がったが、その中間を切り抜いた2倍モードが追加されたと書いた。これは48mm相当。加えて超広角カメラの12mm、3倍モードの77mmカメラが加わり、まるで単焦点レンズを切り替えながら撮影しているかのような感覚だ。
48mmの画角は通常撮影時はもちろんだが、マクロ撮影時やポートレイトでも使いやすい。そこでiPhone 14 Proのカメラでは、ポートレイトモード時に1倍(24mm)、2倍(48mm)、3倍(77mm)が選べるようになった(残念ながらシネマティックモードには2倍モードがない)。
しかも、メインカメラの1倍時が最も高画質とはいえ、望遠モード時のマクロ撮影を除けばフロントカメラも含め、カメラ画角を切り替えることで画質が大きく下がったり、色味が目に見えて変化するということもない。少なくとも端末を使う上では感覚的に同等に揃えられている。
こうした「体験重視」の部分は今後、ジワジワと評価を上げていくことになるだろう。