CEOが語った「日常のGemini活用術」
「3人はふだん、Geminiを日常生活の中でどのように活用していますか?」という記者からの質問に対する答えにも、3名の個性が表れていました。
最初にピチャイ氏が、次のように語りました。
「両親の医療レポートなどを整理するために、Geminiを利用しています。それぞれのフォルダを作成し、情報をまとめておくことで、継続的に両親の健康を把握できる安心感があります。また、私は自分自身が特にクリエイティブでアーティスティックな人間だとは思っていませんでしたが、時々Geminiの手を借りて、子供たちを驚かせるような画像を作ることができた時には、自分の中に少しだけクリエイティビティが育つ実感が得られます」
リード氏は、情報の整理と生産性の向上について言及しました。「Geminiを使い始めてから、日々の疑問についてAIで調べる機会が増えて、すぐにその答えが得られるようになりました。またAIの力を借りて、再びコーディングに挑戦しています」
カヴクチュオール氏も同様にコーディングへの活用を挙げたうえで、生活の中での判断におけるGeminiの有用性を強調しました。「家を購入する際の手続きの確認など、日常生活のあらゆる判断においてGeminiに聞いて、活用しています。言語や文化の壁を越えて、多くの情報を整理して提供してくれるのでとても便利です」
科学の発展から社会インフラまでスケールするグーグルのAI
ユーザー個人の生産性向上だけにでなく、AIは科学的な発見や社会全体のインフラの成長にも大きな影響を与えています。
カヴクチュオール氏は、グーグルのAI研究の優位性について次のように説明しています。
「私たちのAIへの投資は、世界最高水準の基礎研究とハードウェアへの投資という2つの柱に基づいています。研究はAIの歴史における重要な進歩に貢献し、同時に早い段階からチップの設計に注力することで、研究とハードウェアの共同設計を実現しています」
こうしたインフラと研究の成果は、科学分野でも実を結んでいます。ピチャイ氏は次のように述べました。
「トップクラスの科学者が、研究プロセスにGeminiと関連するAIツールを組み込むようになっています。DeepMindが、タンパク質の構造予測などの目的のために開発したAIモデルのAlphaFoldはその好例であり、世界中の生物学者がこれを利用しています。現在はさまざまな科学的発見が加速する初期段階にあると考えています」
グーグルは急増するAIによる計算需要に応えるため、過去2年間でその前の20年間に匹敵するコンピューティング容量を構築し、核融合や地熱、小型モジュール炉などの新しいエネルギー源の調達も進めていることを明らかにしています。
エージェンティックAIの時代のニーズに合わせて、グーグルのカスタム スーパーコンピュータ向けに設計された最新のチップセットであるTensor Processor Unit(TPU)8シリーズもリリース。トレーニング向けのTPU 8tと推論向けのTPU 8iに分けて、最先端のモデルトレーニングやエージェント開発、大規模な推論ワークロードまであらゆる処理を支えます
セッションの最後に、ピチャイ氏はAI技術の安全性と、技術が最終的に目指すべき方向性についても言及しました。最前線の技術開発競争が進む中、サイバーセキュリティ分野においては各研究所、セキュリティベンダー、そして米国の政府機関の間で強力な連携が進行していることが強調されました。
グーグルがなぜAI技術を開発するのか。その目的について、ピチャイ氏は自動運転技術の展開も例に挙げながら、次のようにディスカッションを締めくくりました。
「テクノロジーは人々の役に立ち、生活の質を向上させてこそ意味があります。Alphabet傘下のWaymoは、自動運転技術の国際展開を発表し、今後は東京やロンドンなどへの導入に向けて取り組んでいます。自動運転の技術は、究極的には人命を救うためのものです。また、AIモデルを核融合技術の改善に応用するなど、私たちは責任ある形で技術を前進させ、できるだけ多くの人に届けることに力を尽くしています」
Waymoは、グーグルが本社を構えるマウンテンビュー地区周辺、サンフランシスコ市内からさらにサービスエリアを拡大中。サンフランシスコ国際空港から、高速道路に乗ってWaymoで移動できるサービスも招待制でスタートしました。筆者も今回は特別に、Waymoで高速道路を走る体験をさせてもらいました
今年もGoogle I/Oで発表された、グーグルによる数々のテクノロジーが今後、新しいデバイスや既存製品のアップデートを通じて私たちの日常に溶け込み、同時に科学技術や交通インフラの変革などの形で、社会全体に広がることが期待されます。

筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。





























